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Private Excution
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Private Excution 3

それは、教室でも同じ。教室の面々の三分の二は朝から疲れた顔をしている。
 そんな中、朔馬が机に鞄を置くと、不意に後ろから肩を叩かれる。
「今日の昼休み、分かってるわね?」
 声の主はそれだけ言うと、さっさと教室を出ていく。朔馬はそれを振返りもせず、ただため息をつく。
「『今日の昼休み、分かってるわね?』だとぉ?」
 代わりに聞こえてきたのは、恨みや憎しみのような、負の感情が形になったような声。彼の名は小島  圭人(コジマ ケイト)。高校入学時からの朔馬の友人の一人。
「だから…俺とあいつは何とも──」
「ア、アイツだと?!」 聞いちゃいない。
「貴様…毎度毎度、露切さんになんて慣れ慣れしい態度で──」
「だったら紹介してやろうか?案外うまくいくかもしれねーぞ?」
 すかさず切り返す朔馬。
「いや…お前…そんな俺なんかに露切さんが…なぁ?」
 なぜかクネクネとする圭人。
「圭人、キモいって」
 後ろから笹島 玲(ササジマ アキラ)がちょっかいをかける。
「フフン…お前みたいな女に露切さんの魅力はわかるまい」
 何故か勝ち誇ったような口調の圭人。その様子に、ショートカットのボーイッシュな女子生徒は大袈裟に息を吐く。
「オイ、小島、御子神!何やってんだ、早く座れ!」
 いつの間にか入ってきた担任の女教師に怒鳴られ、圭人は慌てて席につく。ちなみに、それは朔馬の隣。回りは、またかよ、といった目で朔馬と圭人を見る。
 何で俺も、と朔馬は口の中だけで呟き、もう一度ため息をついた。
4限目が終了するチャイムが鳴ると、朔馬はそそくさと教室を出た。途中、購買でパンを買うのも忘れない。

 突然だが、朔馬たちが通っている緋烏第一高校は、5つの校舎から成り立っている。1〜3年生の校舎、体育館、そして旧校舎である。
 そして、今朔馬が向かっているのが、二年生の校舎の屋上。階段を登り、立入禁止の看板が下げられた鎖を跨ぐ。金属製のドアには施錠されているが、それは懐から取り出した鍵で開ける。
「遅かったわね」
 ドアを開けるとそこには、紺色のスカートと艶やかな黒髪をたなびかせる女子生徒の姿。
「これでも急いだんだけどな…」
 苦笑して、朔馬が腰を下ろす。
 彼女が、今朝圭人が騒いでいた渦中の人物、露切 蒼依(ツユキリ アオイ)である。成績は学年トップ、容姿端麗ともあれば校内に圭人並のファンは多数存在する。
「で?理由もなく呼んだ訳じゃないんだろ?」
 メロンパンを頬張りながら、朔馬が訊く。
「当然でしょ?」
 そう言うと蒼依はスカートのポケットの中から青い封筒を取り出す。シャレでは、ない。

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