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Private Excution
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Private Excution 14

「問題ねぇよ」
「たわけ。奴らの戦力がわからないと言ったばかりだろう。向こうに四伯クラスの人間が二人以上いたらいくらお前とはいえ危ないだろう」
ぐ、と朔馬は言葉に詰まる。四伯、というのは七官の一つ上の階職のこと。
「情報の捕捉が甘ければ治療用ナノマシンも足りない。本部の連中は何をやっている」
「いや、ナノマシンが足りないのは普通に曜子先生が発注し忘れたからだろ」
「ふぅ…仕方ない…藤森か遊馬にでも連絡を取るか」
曜子はため息をつき、白衣のポケットから携帯電話を取り出す。
──シカトかい。
朔馬は思わず心の中だけでツッコむ。口に出さないのは単純に後が恐いからだ。
「兎に角、奴らのアジトは捕捉できていることだ。準備が調い次第乗り込む。蒼依はちづるを匿っていてくれ」
少し不満そうな顔で蒼依が頷く。おそらく、自分はまだやれる、とでも言いたいのだろうが、肩の傷の深さを自分でわかっているのだろう。
「では、私は四伯の誰かに連絡をとっておく。解散だ」
この後、事態は急展開を迎えることを、誰も予想できていなかった。
その知らせは、あまりにも突然だった。
朔馬は連日の任務の疲れから、熱めのシャワーを浴び、早めにベッドに潜り込んでいた。それが午後23時頃。
み゛ぃ゛ぃ゛〜ん…
枕元で、携帯電話のバイブレーションが騒ぎ出す。取る前からイヤな予感が頭をよぎる。
暗闇の中、背面ディスプレイには、【露切蒼依】の文字が浮かび上がっている。
「ごめん」
蒼依は開口一番そう言った。予感は確信に変わる。
「何があった?」
「ごめん…守れなかったよ」
受話器からは、いつもの蒼依のものではない、疲れた声が漏れ出す。

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