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Private Excution
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Private Excution 13

「ふむ…」
曜子が目を細める。その視線の先には一枚の報告書類。
「曜子先生?…どうかしましたか?」
放課後、再び保健室。質問を投げ掛けたのは蒼依。朔馬はというと、額に大きなばんそうこうを張り付け、朝のようにノートパソコンと向かい合っている。
「いや、面倒なことになっていると思ってな」
言って、曜子はその紙をピンと指で弾く。ひらひら舞いながら蒼依の膝元に落ちる。蒼依がそれに目を落とすと、一つの単語が目を引く。
「《ベルセルク》?!」
「…って何ですか?」
明らかに嫌そうな顔をする蒼依に、横からちづるが訊く。
「《ベルセルク》?!」
「…って何ですか?」
明らかに嫌そうな顔をする蒼依に、横からちづるが訊く。
ちなみに、ちづるは昨日の制服姿のままだ。このまま出歩くのは人目を引くという理由から、今日一日は保健室に軟禁という形をとった。早いうちに枢公院からの処分が下されるはずだが、暫くはこの三人のうち誰かの目の届く範囲で保護される。
「…戦争屋さ」
パソコンをログオフし、ため息混じりに朔馬が答える。その表情もやはり冴えない。
「戦争屋…?」
聞き慣れない単語に、ちづるは頭の上に疑問符を浮かべる。
ちなみに、ちづるは昨日の制服姿のままだ。このまま出歩くのは人目を引くという理由から、今日一日は保健室に軟禁という形をとった。早いうちに枢公院からの処分が下されるはずだが、暫くはこの三人のうち誰かの目の届く範囲で保護される。
「…戦争屋さ」
パソコンをログオフし、ため息混じりに朔馬が答える。その表情もやはり冴えない。
「戦争屋…?」
聞き慣れない単語に、ちづるは頭の上に疑問符を浮かべる。
「二回の世界対戦や湾岸戦争、イラク戦争みたいな派手な殺し合いだけが戦争じゃない」
心なしか、朔馬の黒瞳の輝きが鋭さを増す。「戦争なんか、どこでも起きてる。きっと俺達がこうしてる今でも、誰かと誰かが、それぞれの理由で、殺し合ってるんだ。…あんたが知らないだけでな」
──あんたが知らないだけでな──。静かなその言葉が、ちづるの鼓膜を震わせる。
胸が、苦しくなる。何かが、ちづるの小さな胸を圧迫する。その正体は、心の奥底に沈む澱を巻き上げるような、言い知れない焦燥感。いわば、恐怖。
「んで、《ベルセルク》、ってのは、戦場を市場とするような奴らだ。参入当初から独占が続いてるけどな」
朔馬の目の輝きが普段のとぼけたそれに戻り、ちづるは少しだけ安心する。
「全く節操の無い奴らでな。叩こうにも奴らの戦力や財力、本拠さえわかっていないからな。枢公院でもなかなか手を出せないでいる」
曜子が煙草に火を点ける。こう見えて、曜子はなかなかのヘビースモーカーだ。ちなみに、好きな銘柄はラッキーストライク。
「しかし…奴らが絡んでいるとなるとな。流石に朔馬一人では若干不安だな」

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