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Private Excution
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Private Excution 11

恐らく最後通告に耳を貸さなければ、容赦なく彼女を斬り伏せていたはずだ。
『フン…所詮は役立たずか』
吐き捨てるような口調のアナウンスに、朔馬の瞳に赫怒の炎を燈す。
『まぁ…代わりぐらいいくらでもいるさ』
鼻で笑った後に、少女が出てきたのと同じ扉から、一つの影。朔馬はぎこちない機械音を耳にする。
『データは取れた。お遊びはおしまいだ』
「ぬかせ!」
駆け出し、鯉口を切る。

銀光が、閃く。
聞こえるのは甲高い擦過音。人間でいえば左肩から右腰にかけてをばっさりと切り落とされ、鋼の人形が崩れ落ちる。
「人形に戦わせて、自分は高見の見物か。いい趣味してんな」
皮肉な口調に、明確な殺意が見え隠れする。
『その女は出来損ないだったがね』
男の冷徹な言葉に朔馬の理性が吹き飛ぶ。それと同時に無数のロボットが、今度は正面の扉から姿を現す。
「上等だコラァ!!」
「落ち着きなさいバカっ!」
今度は入口から蒼依の叫び声。
「体制を整えるわ。引きましょう」
「何言って…っ!」
頭に血が上っていた朔馬だが、出血する右肩を抑え、肩で息をしている蒼依の姿を見て冷静さを取り戻す。
「…わかったよ」
「わかればいいのよ…ってちょっと!」
右手に少女を抱え上げ、左手で強引に蒼依を担ぎ上げる朔馬。少女は何が起こったかもわからず目を丸くしているし、蒼依の抗議の声も完全無視だ。
背後に銃弾が追って来るが、疾風と化した朔馬には追いつけない。
その朔馬は、走りながら、今回の任務の重大さに気付きつつあった。
「あ、起きた起きた」
べッドサイドの蒼依が、ちょっと安心したような声で言う。
「…ここは?」
少女が、周りを見回して言う。その目には怯えが見える。
「私立緋烏第一高校一階保健室のベッドの上、って言えばわかる?」
もちろん、分かる訳がないだろうが、少し離れた場所から、朔馬が応える。本来、そこは養護教諭の席なのだろうが、今はそれらしき姿は見えない。
あの後、地下室を脱出する際、いつの間にか気絶していた少女を抱え、二人がやってきたのはここだったのだ。
「あ、この学校は《枢公院》の傘下だから安心してもいいよ」

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