PiPi's World 投稿小説

緑目の少女
その他リレー小説 - SF

の最初へ
 1
 3
の最後へ

緑目の少女 3


『何でこんなに遅いのよ。ライフ、もっとスピードでないの?』
短気なのか足で車を踏み叩く。そんなリシャの行動はいつものことでライフは適当に相槌を打ちながらも、運転を任されていた。
ハイジャクする予定の日本行き航空機に乗り込み、機内を早々占領してしまった。
空港内での騒ぎの手助けもあり、機長以外の乗客は出口に押し合いへしあいで出ていってくれた。
『はい、機長さん。本日も予定通り日本に行ってくださいね。えっ?大丈夫ですよ僕は連れと違って無闇に暴力は働きませんよ。』

機長室でライフが機長と話をしている間、リシャは機内食を勝手に食べていた。その食い方はまさに肉に食らい付く猛獣だ。普段からこの食べ方はライフからやめてくれと言われているが本人の意見では『そんなもの気にしてたら不味くなっちゃうでしょ』ということらしい。
リシャが機内食を食べ終わろうかというとき、機内アナウンスが流れてきた。
『ほ、本日は当社のここ、航空機をご、ごりよういただだき、まことにありりがとうございます。本機はよ、予定通り日本、羽田空港に離陸し、します。ご、ごゆっくりおくつろぎください。』


機長のアナウンスも終わり、予定時刻通りに航空機は離陸した。
「航空機と一体化すれば、機長なんていらないんじゃない?」
戻ってきたライフに退屈そうに聞いてきた。
「たまにはゆっくりしたいじゃないか。それに、航空機と一体化したらそれ相応のエネルギーは必然的に持ってかれる。久しぶりに乗客としての気分を味わうさ。」

先程の空港に辿り着くまで、交通手段はほとんどライフが一体化した車を使ってきた。追っ手を撒くためライフの能力でカスタムした車は数日前、ヘリによる上空からの空爆により、大破、炎上。仇とばかりにロケットランチャーで撃墜したもののそこから空港まではほぼ徒歩だったのだ。

リシャと違い、ライフの体力は一般人とさして変わらない。情けないことにここまで半分の距離はリシャが背負ってきたのだ。
それから数時間後、今まで平穏だった機内が急に傾いた。何事かと思い、ライフは機長室へとむかった。リシャが窓から後方を見てみた。通常の視力では確認できないほど後方から、隊列をくんだ五機の戦闘機がせまってきていた。
『あ、あ、リシャ聞こえる?後方から追っ手がきてるからこれと一体化してできるだけ逃げてみる。撃墜されるかもしれないから、そこんとこよろしく。』

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す