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緑目の少女
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緑目の少女 4

「『そこんとこよろしく』って、私にどうしろっていうのよ。」
リシャとしては敵に応戦したいがこの状況では残念ながら彼女には何もできない。しばらく機内を歩き回ってみたものの最後は椅子に座って落ち着くところに納まった。
一方、ライフはというと。
「リシャには意気込んでみたけど、さすがにこれはきついな。」
こちらは人を運ぶために造られた航空機。あちらは戦うために造られた戦闘機。
機体性能は完全に航空機<戦闘機である
しかし、彼の能力はこの状況をなんとかして打開しようと奮闘していた。
エンジンの大幅な改造、機体の軽量化、そして航空機の外観が少しずつではあるが変化していった。
「はぁはぁ、さすがにきついなこれ。だけど、ここからが本番なんだよね。」
額に汗を掻きながら、ライフは臨戦態勢に入り加速した。それと同時に後方の戦闘機も速度を上げて追ってきた。旧式の戦闘機なのかカスタム機と化したこの航空機のほうが速度は速い。
しかし、後方から射出されたミサイルは確実に致命的ダメージを与えるだろう。

『機体に多少の違いはありますが、“エーテ”が乗り込んだものとして間違いありません。』
司令部へと報告するパイロットは前方を飛ぶ航空機が変化していく様を見ていた。司令部からは軍事機密を盗みだしたテロリストが乗っていると報告があったが、今となってはそれも疑わしい。
しかし、彼らによって空港内にいた人達が殺されたのは確かだ。悪いが死んでもらう。

死刑宣告、トリガーを引ぃ…ん?
前方にいる航空機が急降下し始めた。それも尋常ではない速度で…。こちらも加速して射程圏内に入れようとするがあちらの方が若干速い。隕石のように落ちていく航空機のさきには波が見えるほどに近くなった太平洋が見えた。そろそろ機体を持ち上げないと海の藻屑となるが、航空機はまったくそのような素振りを見せない。

機体は海面ギリギリに降下すると機首を水平に上げたが、もう遅かった。
機体は海面を二三回跳ねたあとで轟音と水飛沫を立てながら海中へと姿を消したのであった。
その一部始終を見ていた戦闘機のパイロットは短く、目標は海に墜落、と報告をした。

「なぁ、もうちょいマシなのなかったのかよ?」
さっきまで自分達を追っていた戦闘機が上空を旋回している場所の海底近くで少女がぼやいた。
飛行機の座席に座ってひたすら足を動かしながら。
「我慢してって。 あんな短時間かつ材料不足だとこれが精一杯なの。」

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