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緑目の少女
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緑目の少女 2

『はい、マシンガン。』
取り出したのはマシンガンだった。
さらにライフが手をブンブンと振る。 袖のなかから何かを出すような感じにだ。 だが、それは袖から出はなく手の平から出てきた。
『はい、マガジン。』
彼の能力は機械を造り出すこと、細胞が進化しているのだ。 しかも造り出すだけではなく、自らの細胞を変化させて機械とシンクロも出来る。 融合に近い能力だ。
ただし、能力の発動は細胞が働く為にカロリーを消費する。
『飴玉一個分、かな。 今ので。』
『サンキュ。』
ライフからマシンガンを受けとると、陰から飛び出し銃弾が飛び交う中を所々の障害物を中継点にして敵に近付いて行く。 その動きの早さは常人の物では無かった。
『ハッハァ!』
椅子を踏み台に、高く跳び上がる。 高さにして7m。 天井ギリギリまで跳び、マシンガンを乱射する。
突然少女が飛翔したかと思えば次の瞬間銃弾の雨。
上に銃を構えた時にはすでにリシャは着地して、今だ上を向いている。敵集団に再び乱射する。
『イャッハァ♪ あと13人!』

警備員達の銃口がリシャを捉えること無く全員が物言わぬ肉塊になるまで、一分とかからなかった。
彼女は人間であり、人間で無かった。
言わば、進化した人間だ。 普通の人間より10倍近い体力・運動能力を持っている。
彼女の識別に付けられた名称。 それが先程警備員が言っていた「エーテ」だった。
『ライフ〜、終ったよ。
とっととここを出よう。 軍隊来たら厄介だし。』
『指名手配されてるのに、空港使うって言ったのは誰だっての…』
彼女達が目指しているのは、日本だ。
『…リシャ、親父さん見付かるといいね…』
『うん…』
旅の目的はリシャの父親探し。 施設を去るさいに施設のデータバンクにライフが融合して情報を読み取ったのだ。
リシャの父は普通の人間だった。
だが、ある日突然エーテになったのだ。
緑色の目、人間離れした身体能力。
生命の強さ。 進化した細胞は酸素を必要としない。
単純なエネルギーがあれば動く。 つまり呼吸をしないのだ。

『で、日本に行くわよ。』マシンガンをそこら辺に放り投げ、ターミナルを出る。
『うん、親父さんが三年前、ニューヨークから日本に飛行機で行った記録が最後だったよ。
でさ、リシャ、マシンガン捨てないでよ。 毎回作るにも体力使うんだよ?』
リシャは適当に辺りを見回し、客の荷物などを運ぶ三輪の自動車を見つけて乗り込んだ。
『めんどい。
それに、腰から銃ぶら下げて歩くわけには行かないじゃん?』
ライフは溜め息をつき、カートに乗り込む。
カートは走り出す。 だが、元々室内で走るため、スピードはあまり出ない。 ノロノロした速度にリシャは段々苛立ち始めた。

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