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緑目の少女
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緑目の少女 1

敵なら殺せ。
近寄るなら撃て。
優しい言葉には銃弾のお返しを。
恐怖に乾杯。
死にこんにちわ。

『…かったるい。』
ホノルル空港G−1ターミナル。 ターミナル内の椅子に年の頃15歳ほどの少女が座り、飴を舐めていた。
あの生活をぶち壊しこの旅生活を始めてから二ヶ月が過ぎただろうか?
今では退屈とダンス、だ。
『遅い、ライフのやつ何してんのかな…』
ライフとは彼女の相棒。 彼女の数ヶ月前の生活で得たただ一つの良いことは彼だろう。

カツカツカツ。

うるさい音を立てながら警備員の集団がターミナルに駆け込んで来た、約15人ほどだろうか?
警備員達は一直線に少女へ近寄り、囲む。
『エーテ、お前を逮捕する。』
警備員のリーダー格はそれだけ言うと全員ショットガンを少女に向けた。
ターミナル内にいた他の客達が悲鳴を上げながらターミナルから出ていき、しんと静まりかえる…
その静寂を破ったのは、少女のあくびの音だった。
『…おっさん、15人?
あたしを捕まえようって割には数の桁が違わない?』 ブゥンと鈍く風を切る音と共に木刀が一本飛来し、少女の手に収まる。
だが、それは木刀ではなかった。 鉄製なのだ。
『それも、二桁ね。』
少女の手に武器が握られたことでリーダー格が発砲を命じる。
『撃て!』

だが、ショットガンが火を吹くことはなかった。
寸前に少女が鉄刀を振り回すとショットガンは弾き飛ばされたのだ、いや砕かれ、二度と使えない代物に変わっていた。
『おりゃ!』
風切り音と鈍い音。
リーダー格が頭を砕かれ、床に倒れる前に絶命した。
さらに右に横一線の薙払いで3人が倒れた。 いずれも首を強打されて死亡している。
ここになってようやく事態が呑み込めた他の警備員達は口々に言葉にならない哀願の声を上げて逃げ出した。
『…ふぁ、まぁ退屈しのぎにはなったかな?
ライフ、早く行くよ。』
ターミナルの入り口に少年が立っていた。 ライフ、それが彼の名前。
『あぁあ、リシャってば、また殺しちゃった…
あんまり殺すとあとで怖いよ?』
金髪で青い目の好青年なライフ。 年は少女より高いのだが…
『うるさい。 あたしの気分次第で殺すか殺さないか決めるの。』
少女はライフの言うことを聞こうともしない。
彼女の名前はリシャ。
黒髪のショートヘアが綺麗な少女だが、他と違うのは目の色。 透き通るような緑の目をしていた。
リシャとライフは数ヶ月前まで一般に知られていない極秘の化学軍事施設から脱走したのだ。
その施設では、人間の遺伝子を操作して新たな生物を生み出す研究をしていた。
それによって生まれたのが、ライフだ。
彼は外見は人間だが、ある特殊な能力を持っている。
『いたぞ! 総員発砲!』
ターミナルに今度は30人以上の警備員が駆け込み、ショットガンを構えた。
『うひゃぁ!』
『ちっ!』
二人はほぼ同時に柱の陰へ避難した。 轟音と共に辺りの椅子が吹き飛ぶ。
『あ〜、距離があるや。
ライフ、マシンガン、マガジンも二つね。』
ライフに手を差し出し、ヨコセのポーズ。
『はいはい…』
ライフは自分の膝を掴む。 すると指が膝にめり込み、ズルリと何かを膝の中から取り出した。

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