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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 9

レコーダーは航空機に搭載されるモノを流用しており耐火に耐圧性は国際基準を満たしている。海底に沈んでも直ぐには浸水はしない……沿岸域の海底なら数年は大丈夫と言う事だがアテにはしない。
「教授からです、新型潜水艇のテストを兼ねるので見つけても取るなと」
「了解」
零菜は降下し理香はスクターからワイヤーを伸ばしパワードアシストスーツ本体に装着、浮遊するマーカーを出す……マーカーからロープが出ており二人が潜水している事を示している。


五分後、第一潮丸が到着し新型潜水艇が海中に降ろされた。
『二人とも目的のモノは?』
「「まだ特定出来ない」」
零菜も上がってきた……水温が低いのでヒーターが電力を喰うのだ。

『零菜、一旦第一潮丸へ』
潜水にて気を付けるのは急浮上、潜水病を避ける為に十分に呼吸が出来る空気量があるうちにゆっくりと浮上し海面に出ると直ぐにヘルメットを外した。
「お爺様、申し訳ありません」
「ええじゃのよ……」
ウィルデッキに上がった零菜に近寄る張教授は端末を操作する、ロボット研究をしている昵懇の仲の研究者らに送るためだ。理香もスクター共に上がっていた。
「教授、いい加減に自爆機能は」
「機密保持にはこれが一番じゃよ」
理香の本来の立場としてはあんまりよろしくないのだが……こんな鬼才を生かす日本政府も中々の役者である。
『教授、レコーダー発見しました』
新型潜水艇の良さは想定内だ。



将来的にはこれも海案山子を初めとする各海上プラットホームへの配備が始まるだろう。最もその頃は自分は鬼籍になっている事は間違いは無い。
「引揚手順を確認したのちに作業開始じゃ」
「お爺様、サポートに行きますので」
零菜は再びパワードアシスタントスーツを装着し、理香に至っては試作型海中ドロイドを装着していた。
「教授……何がともあれ報道管制にも限度がある事をお忘れなく」
理香は擦れ違い様に言うと教授も頭を掻く、あの民族は努力と忍耐に事欠くから隣国の出稼ぎ農民に飲まれる……あの侵略行為さえ無ければよかったが……どうもまだ理解してない国民が居るようだ。



「(仕方ないのぉ……)」
楠瀬 理香は一応大学生になっているが……本当の正体を知っているのは自分と孫娘の零菜のみだ。


レコーダーは無事に回収され新型潜水艇の試験項目を順調にこなし、あっという間に昼飯である。
「……」
「今の“任務”に慣れましたか?」
零菜がレーション用のプレートを差し出すと理香はため息をつく……ウィルデッキには二人しかいない。
「どうしてかなぁ……たかがカルト教団の教祖を頭吹き飛ばしただけなのに」
「……」
「あんな奴に極亜半島国の司法判断下す方が間違っているから」

言動からお分かりのように理香は正規の軍士官である……しかも海外派兵し実践経験がある。
「色々と都合とありますからね」
「極亜半島の都合なんて反日や抗日に使いたいだけよ、それにこの国はカルト教団による化学テロを経験しているから……宗教はこれ以上増えない方がいいわね」
零菜も正体を知った時は驚いたが誘拐されてわずか一時間で場所を突き止め誘拐犯を数人射殺、当然表沙汰になったが“犯罪組織の内輪揉め”として処理されている、数人持っていた身分証も非合法……そんな事ででっち上げでも国民は真実に受け止めてしまうのだ。
「今度、ビーチに行きましょう!!!」
「……チャラい奴しかいないのに」
理香は中学時代から軍学校に通っていた筋金入りなので世間一般な男性には厳しい一面もある。

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