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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 8

零菜は所謂天才少女だ……もう日本の高等教育課程では物足りない程に。普通なら国内外有名大学からの御誘いもあるのだが断っている。何故なら日本人では無いからだ……否、日本国籍を得ているが一部偏狭的思想日本人や極亜半島人からは嫌われているので祖父の大学にお世話になっている。
「パワードアシスタントシステムを組み込んだスキューバーシステム……お爺様の真の目的はコレだったとは」
スーツに身を包み老練な紳士が上から階段で下りてくる。
「ええ、ドロイド研究は単にコレの応用。でも、祖父はこれを自分の名で残さないでしょう。それが日本政府に出来る最大の恩返しですから」
「……配慮しなくてもいいはずです、それに貴方がこれをするのは」
零菜は首を横に振る。
「私は人為的に生み出された天才児ですからね、理香さんサポート頼みます」
零菜が装備しているのは“パワードアシスタント”と呼ばれる全身可動外骨格システムで日米欧の軍と企業で規格統一化している。
先の戦争、即ち“沖縄奪還戦争”では占領された離島解放戦で投入され人民解放軍の兵士らを恐怖に陥れた……何しろ対物ライフルをアサルトライフル如くに扱うからだ。遮蔽物があっても厚みが無ければ遮蔽物も突破して体が破壊される……戦意を欠くにはもってこいの戦法だ。無論当時の人民解放軍にも同様のシステムはあったのだが日本連邦共和国軍諜報部の情報操作にハマった北京共産党の無知無能上層部が投入をせずに従来の機動兵装の力圧しでしたのだ。そこに出現したのが日本共和国連邦のパワードアシスタントを使った歩兵、直ぐに投入を決めるも輸送機も輸送艦も敵戦闘機や敵潜水艦に悉く爆破された。補給所か撤退すら出来なくなった侵略者らの末路は自決か捕虜か……その二つしかなかった。壱岐と対馬に侵攻してきた大韓民国軍も同様になった事は理香も知っている。無論懸念事項になるがそれを持ち出しているのは敗戦国の中国と極亜共和国位の偏屈者だ。
「……極一部の国民は私らを日本人と認めてくれないのなら政府はどうするべきか……」
「忖度ですか……貴方も過激ですな」
紳士は苦笑する……この様な人材は賢いのだ。
紳士はとりあえず張教授とその家族にしつこく国外退去を迫る偏屈者の始末を考える……幾らでも社会から抹殺する手段はある。


零菜はパワードアシスタントシステムの可動を確かめつつも微速前進する……理香は従来のスキューバーに海中スクターを使って様子を見守る。
「昨夜産業スパイがここに出たと言う事ですが?」
「ええ、祖父の作品は部外者が変にいじると爆発しますからね……」
「……」
「あら、あちらの方はよく機械を壊すって聞いた事ありません?それはあちらの政府が悪いのですよ、反日行為がどんな事になるのか……所詮儒教止まりの思想が蔓延した民族ですから」
二人とも潜水中でも会話が出来るようにしている。
「……今のはログに残さないようにしますか?」
「別にいいわよ、私を排除したい連中なんて東大の試験すら出来ない連中だから」
彼女にとっては国家に貢献出来る実力を持っているのに自分よりも学力も知性も下な連中には気に食わない……これでも謙虚に生きているつもりなのだ。
「このシステムが実用化すればダイバーの作業時間も範囲も広くなるわね」
「……で、今回の作業内容がレコーダー探しですか?」
「ええ。お爺様のドロイドには必ずレコーダーが付いてます……回収するつもりですがこちらからも探しましょう」
「……分かりました、管制室」
『了解しました、気象及び海流情報送ります』
モニターに表示されると零菜は言う。
「管制室、他のドロイド情報は?」
『異常はありません』
海案山子は付近海域の船舶管制も担い、海中ドロイドは多用途情報収集及び発信システムとして活用……張教授はコレの管理や整備も担う存在であることは間違いない。最も他の海上プラットホームは別の方の海中ドロイドが活用されていると言う……こっちのデータも軍や政府機関を介して流されているがお爺様は先刻承知している。家族でこの地に居られるのなら悪魔にもなりうる。
「プレジャーボートは既に回収」
「無かったと言う事は海中ですね」
あのレコーダーは耐衝撃性重視の為に幾重にも加工されているとは言え爆風でも飛ぶ。

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