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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 16

無論航続距離に関しては従来のガソリン車にも劣らないし高速道路も通行出来るが……急速充電器すら普及してない現状を考えると使用を躊躇うのが普通だ。使用を促進するならインフラ設備も充実させる、自治体レベルになると難しいが保久崎浦町の規模なら可能だ。何故EVに拘るのか……それはバッテリー開発に深い関係がある。海底での使用する機材の動力源は電源が一番適しているがそれを産み出す装置は何れも一長一短、現実的に言えば蓄電池を動力源にするしかない。その運用データに共用EVを利用する……まったくもって策士だ。立ち寄った海の家にて観光客向けのレンタルEVのチラシを見る将は思う、なるほど小型風力発電の実用化も進めようとしたのか……サービスステーションにある風力発電は一般的な風力発電と比べると可也小型だ。


ここで言う一般的な風力発電機は各ユニットの大きさが通常の貨物車両では運べないサイズになる……簡単に言えば事前に警察署に届け出をして先導車を使用して夜間に運ぶ事になる。つまり可也小型は昼間でも運べると言うサイズだ……無論これでは商業や生活に必要な発電量に達しない、だがこれは天候に左右される太陽光にも言える……つまり複数の自然エネルギーを組み合わせる事で海洋開発に必要な電力供給を実現しようとしている。海底に置いては電力供給は難しい、理想は原子力だが重大な事故は海洋汚染を齎す所か逃げ場が限られる人間にも生命を左右する。日本は核兵器被爆国とあってか原子力アレルギーがある。結果的に海上か小島や人工島に太陽光と風力発電を組み合わせるしかない……将も暇を見て色々と書見を読み漁ったので分かる。父親は自分と母親を見捨てた罪悪感から実家の意向で結婚した相手とは子供を設ける事はしなかった……相手もまた事情を知って求めなかった。
最も“義母”自身、生殖器に問題があり妊娠しても流産になる可能性もあった事も……結果的に父の両親に将を引き取らせるしかない為に回りくどい事をしたのだ。
「おや……柳重工の」
「新藤さん……仕事ですか?」
「強制休暇さ、色々と立て込んでな……人事の連中が休暇取れって煩いのさ」
新藤 新太郎は柳瀬重工の長年のパートナーである新藤エンジニアリングの四代目社長である。アイデアマンであるが仕事中毒の気があって会社経営は専務や常務に一任して技師として働いている。
「緑柳のボウズも一緒か?」
「湘南に出入り禁止喰らって不貞腐れてますよ、酔い潰さないと迷惑かけますからね」
新太郎は将の意味深な言葉に笑う。思えばこいつらに湘南の遊び方を教えたのも今は亡き兄の丈太郎だ……。
「思ったよりも太陽光や風力発電の数が多いですね」
「ここは原発誘致を蹴った所だ……その村長が積極的に自然エネルギー発電研究の実験地にしたがったのさ」
一つは過疎対策だ。


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