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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 6

「あら供御飯さん……今日も教授の作品運び?」
「まあ、そんなもんですね……潮万物屋の船が来るので」
食堂の女性との知り合いになる程頻繁に来るようになったのも海上プラットホームが運用されてからだ。当初は税金面で色々と異論が出るも一種の景気対策である事は間違いなく、反対派から与党議員が一人も選出されてない……明確に言えば反対派はみんな野党議員であり中には資質を問う言動を起こした者もいる。最も民間に開放されているプラットホームはこの三基のみ、他の竹島沖プラットホームと沖縄プラットホームは何れも軍管理である……こっちの方は色々と因縁がある所から標的にされている……が手を出せば相手が国際的に孤立を招き破滅へと進む、民族の殲滅と言う事態すら起きかねない。
「……海洋開発か」
各国が海洋開発に力を入れ始めたのは宇宙開発にも応用が利く分野が多いからだ……。
この分野でリードをしているのはアメリカだ……元から海洋開発に転用出来る技術はNASAが関与している。これに軍事目的が絡めばどうなるか……日本としては少しでも追いつきたい訳で海上プラットホームを無傷で手に入れる為に相当な工作を洋している筈だ。
「まっ米軍も悪くはない話だからな」
どの分野にも自国並の技術力がある日本を無碍に出来ない筈だ。米国は漸く中国を分割する事が出来たのだ……あの国は大き過ぎる上に人民に良い政治をしない、共産主義ではなくかつての絶対王政そのものだ……食堂から出て波止場を見ると船が一隻入港する。海万事屋の一つである潮万物屋の母船、第一潮丸だ。
「随分と人載せているな」
船体中央個所はウィルドックになっているので海中での作業にはうってつけだ。
「お〜クグさんかぁ……早いねぇ」
「張教授の新作載せているからな……」
荷台に載せた新型潜水作業艇が入ったコンテナを見る。
ウィルドックから岸壁に上がる作業員達……何れも日本人離れしている感もあるがたいていは移民者で、政治や宗教上迫害を受けた。宗教ではイスラム教絡みで移民を機に仏教やキリスト教に改宗した人も多い、政治は何かしらの形で共産主義を嫌っての移民が多く祖国ではエリートだ、欧米に比べると治安や政治と行政体制が良いので申請者が多い……が審議が厳しい事も事実なので欧州で実績を作って日本に永住した方もいる。第一潮丸の船員もそんな経歴を持つのが数人いる。
「ボス、コレツミコム?」
「コンテナごと積むなよ……ハサム」
「OK」
ハサムは日本に来て日が浅いゆえに日本語があやしいがボスの事、潮 太郎は日本人よりも頼もしく思っている。
「張教授も来たしやるか」
供御飯はコンテナの開閉スイッチを押すと軽自動車サイズの新型潜水作業艇が姿を現す。バッテリーもしくはスターリンエンジンによる駆動でサルベージから海底各種作業をこなす……今回はドロイドシステムによる遠隔操作試験とコクビット部分の耐圧殻切り離し試験である。幹線回路を正副のみであったが副回路を増やしている。

深海での致命的な損傷は死に繋がる……チタン製耐圧殻であっても限度があるのだ。サブスライダーを小型海中ドロイド化して外部から緊急浮上システムを作動出来るようにもしている。
「ほほぉ。この海域ではオーバースペックじゃな」
「張教授は深海域でも使えるようにしてますからね」
助手は呟く……有事の際には海軍に徴発される事を前提に国から建造費用が出ているのだ。むろん第一潮丸も元は海軍が開発した小型多用途支援艦を民間に転用……中国軍の沖縄侵攻と韓国の壱岐対馬侵攻は日本の国防力を持ってどうにか阻止するも中国と韓国は内乱状態に陥った。政治に過度な信頼を寄せていた国民が招いたアナフィナキシーショックと云う名の悲劇だ……今は収まりつつあるが戦国時代同様に国が分断された中国と韓国は衰退している。

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