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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 4

張教授も直ぐに理解する……就職の時には少しばかり口利きしてもよいとも考えている。
「ホテルは何時のも場所です」
「うむ……」
張教授は頷き、また酒を呑む。



数時間後、二人はほろ酔い加減の作業員ダイバーと分かれ宿泊先のホテルに向かう。保久崎浦村時代に老朽化した役場を取り壊しこの土地を含む一帯が売りに出された。役場は廃校になった小中学校校舎を使う事になっていた……所が売却先のリゾート運営会社が政界癒着を起こした……その後は更地だったが三基の海上プラットホーム特需が起きる少し前に買い手がついた。起業して一貫でビジネスホテルを展開した全国区の知名度を持つ、創業者一族の数人が村に示した計画は建物は奇抜この上ないが建設期間が短縮できる利点があった。
村役場の人が頼ったのが当時から海中ドロイド研究で試験の為に度々訪れていた張教授……彼は村の状況をよく知っていたので工業大の建築関連の教授を紹介した。海中ドロイドの海底基地構想で交流があり、直ぐに計画書を見た……客室はドームハウスで発砲ウレタンと呼ばれる新素材で出来たピースを組み合わせる方式で重量も80kgと作業員数人で持ち運び出来る程軽い。基礎が出来ればあっという間に組み上がるが当時は知名度が低かった……機械室やランドリー等ホテル設備は使用期限が過ぎた海上コンテナを再利用したコンテナハウスに宛がう……建築関連の教授らもビックリするほど斬新なホテルだ。法的には問題はない……村長は考えた末に了承した、それが最後の村長の仕事であった。
開業して暫くして件の海上プラットホーム関連で稼働率は運営会社の想定以上に高水準を維持……当初はリゾートホテルとしての想定していたがビジネスマンの利用率の多いので少しばかり不釣り合いだが……その見た目から山間部を通る国道沿いでも覚えて貰える、更に売店を無人コンビニ化した事により大幅なコストカットと道の駅の役目を果たした。
「……じゃ、わしは寝るぞ」
チェックインをして部屋に入るなり張教授は寝てしまうが助手は静かにノートPCを立ち上げた。




同時刻、三基の海上プラットホーム近海に潜り作業する二人の男……海中スクーターに装った海中ドロイドのセンサーがせわしなく動く。



「本当にあるんですかねぇ?」
「ここは裏切り者である張の作品の試験海域だ……何としても回収しろ、そうでないと居場所がないぞ」
二人は会話が可能なフルフェイスマスクを装着している、本来は冬季や人体に有害物質が漂う海域に潜る際に使用される機材で通常のスキューバーダイビングでは使用されない。ただし海上プラットホーム周辺海域での作業員ダイバーではよく使用される。
「あったぞ……」
男は相棒の唾を飲み込んだ音を聞いた、事前に得た情報通りだ。海底に沈んでいる……如何にかプレジャーボートに運べる。
「急げよ……ここの海上警察は軍の哨戒艇並だ」
由来が中国から奪っただけに共産主義に陶酔したゲリラのターゲットにされている。とは言え計画や未遂で終わっているのはそれなりに中国にも穏健に日本との関係を修復したい思惑がある……。
とは言え……この国も中国には煮え湯を飲まされ続けただけに経済面でそう簡単に応じない、寧ろ応じているのが広州や香港を中心にした共産党を排した“新華人共和国”や中央アジア国境付近の少数民族らで建国された“中央亜細亜国”だ。我が極亜共和国は蚊帳の外で旧国名の大韓民国時代、沖縄侵攻の際に呼応する形で以前から領土主張をしていた壱岐と対馬に侵攻……直ぐに奪還された上に首都ソウルの大統領府に日本連邦共和国空軍から空爆、核攻撃ですら耐えると言う大統領府地下シェルターも半壊に追い込まれ在日米軍は隣国である“北朝鮮人民国”の侵入を防ぐと言う名目で侵攻……旧韓国軍は抵抗するも長くは続かず親外派により極亜共和国として改名した。しかし長年の反日行為により経済効果は低いモノばかりだ。その為にも国威発動の計画を強行したが先日の海底都市はあっけなく浸水……まあ足の引っ張り合いが生じているとしか思えない。

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