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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 12

昨今では制服警官襲撃っていう海外の事案も日本で起きるようになり、自身の場合は産業スパイと言う最悪の相手であった。拳銃もリバルバーからオートマチックに更新、更に昨年の事例を考慮してか特殊制圧部隊が使うSMGまで与えられた。定年まで後一桁と言う三原にとっては思いもしない……そう思いつつも砂浜を歩く。地元なのでこの辺りの事は察しが付く。確か海の家がある。仮設小屋形式であったが台風直撃で倒壊、現場対応したから覚えている、その後はドーム型建造物に。第四の建材とも呼ばれている品物で山間部にあるリゾートホテルが多用している……。
「三原さん、今年もですか?」
零菜は気が付いて会釈するなり言う。二人とも下に水着を着用している事は分かる。
「ああ、楠瀬准尉も一緒か」
海の家の利用手続きを終えた理香も三原に気が付く。
「三原巡査長……」
「ははっ、昨年はお世話になったよ……君の上官に。彼の意見具申で無事に定年まで勤められるよ」
「あの時は本当に申し訳……」
「まあ、いいさ……県警の平和ボケキャリアにはいい薬になったと思えば……」
理香は申し訳ない表情になる、あの時は理香でさえも蒼褪めた……一般警察官殉職原因が産業スパイからの銃撃が世間に知れたら警視庁も大統領府からも市ヶ谷の親分を呼び出すだろう。何よりもマスコミが煩い……。
「今年はそんな事は起こさせませんから」
「ああ日下部もそんな感じだったな……やはりアレが出来てから物騒になったな」
海案山子に視線を移す、地元の景気は良くなれば犯罪も増える。昨年の冬にはこの建造物の不法侵入した上にわいせつ映像撮影現行犯逮捕、更に締め上げるとシャワールームとトイレの隠し撮りカメラが発見されて一騒動に……この海の家もセキュリティの強化が図れた。
「二人だけかい?」
「あっ、祖父の研究仲間らが家族で来るので……」
「なるほど、安心出来るな」
軍からも出向者が多いからなぁ……ナンパ野郎が手を出さないように祈るしかない。
「じゃ良い休日を」
三原は会釈して海の家を後にする。序にライフセーバーの詰め所寄っておく事にした。



この海岸は波立ちがよくサーファーには知れているがそれだけ波が荒い……無論海水浴場になっている海域は比較的波が穏やかであるが河口の向こうから先は波が荒い。そこが事実上のサーフィンスポットになっている……サーファーの中には地元やここに移住した者も少なくはない。
職業も海案山子に関係する専門職に付く傾向があって一級若しくは二級小型船舶に水上バイク区分になる特殊小型船舶操縦士の免許持ちも少なくは無く、小型船舶に該当するプレジャーボート持ちもある……無論地元管轄署も把握はしている。密輸に関与する事も考えられる……交番勤務としては心苦しい。
「三原さん」
「おう、今年もよろしくな」
馴染みのライフセーバーのリーダーを務める青年もシーズン入りとあって準備を進めていた。消防も水難救助機材の増強を進めているが彼らの存在が無ければ海水浴場を閉めざる得ない。
彼はこの町の出身者では無く、湘南海岸に近い出身である……聞けば以前はそこで活動していたが方針を巡って自治体と衝突、この町に流れ着いたのは海案山子設営後に急激な住宅需要を満たす為に来た建設作業員として訪れた。次々と仕事も舞い込み何よりも海が近く湘南よりは大らかな場所だったので定住したのである。何よりもライフセーバーを探していたこの町の事を知ったのも定住の決め手になった。
「拳銃変わりましたよね?」
「ああ、昨年俺が殉職寸前になったからな……ここも導入したのか?」
視線の先にはタイヤが付いた小型船舶が砂浜にあった。
「ええ、サーファーの事もありますので、試験導入でねじ込んだと」
プレジャーボート運用には課題もある。係留場所の確保だ……海水浴場での運用となると工事を必要になるが税金もかかるし環境破壊にも繋がる。フロート形式の道具もあるが安全性を考えると砂浜に揚げるしかない。

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