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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 11

自分の夢を叶える為にその手を血に染め、硝煙の臭いが染み込み、視線で幾度も死を見つめたのに……。



ビーチクリーナーに回収されたゴミはそのままダンプに移した……ゴミと言っても様々で石から貝殻のかけらに漂着物まである。時々隣国から不法海洋投棄された薬品のポリタンクも流れてくる。まぁ問題になったがあの国の民度が如何に低能なのかおわかりだろう。
何せある市民団体が大使館に漂着したポリタンクを送りつけようとして一騒動になった事もある。その時は機動隊の皆さんのお陰で大使館に被害が及ばなかったが……ファントムガーディアンが迅速に行動した結果でもある。騒ぎを大きく使用した愛国者を消したのだ。
「(まっ……あちらも反省し民度が上がっただけでもよしとしましょうか)」
作業を見る日下部はため息交じり思う。
「おっ、オートコンビニも出来たのかぁ」
元は超高層ビル内部対応する為に全て自販機化した店舗形態で近頃は期間限定で需要がありそうな場所に臨時店舗として設営する事が多い。電子マネー支払いのみと言う事で海外では割と普及していたが日本では現金支払いが根強く些か苦労したが裏を返せば紙幣に対する信頼度が高い現れだ。
「トレーラーでの運搬して設営か」
コンテナ型店舗と言うべきだろう……機材管理用コンテナと店舗コンテナを組み合わせる方式だ


まず機材コンテナは自家発電装置と電源供給装置が組み合わせたモノで最寄りの電線からも供給できるようにしている。多目的トイレ併設したトイレユニットも用意されている……閑散しているのにと思うがここは太平洋まで遠征する余裕が無い方々やサーファーにとっては穴場だ。この辺りはコンビニも散逸しているので各社も臨時店舗を出すようにしている。
「で移動交番もある訳か」
こんな場所でも軽犯罪やらトラブルが起こるので県警もそれなりに対応している。
今年からは仮設交番にするらしく設置作業をしていた……これはイベントや大規模被災地に置いての警察業務をスムーズにする為の機材でありユニットを増結すれば駐在所機能もある。何よりも警察組織も自前のクレーン付トラックを持っているので設営も出来る訳だ。
「ライフセーバーだけじゃ無理と言う事か」
ライフセーバーの目的はビーチでの危険行為の防止も含まれているが限度もある、離岸流やら起きないとは言え溺者は出る……ライフセーバーはボランティア組織、不測の事態が起きれば色々と後始末が大変だ。なので今年から駐在する事になったのだろう……。
「日下部、実証実験の際中か?」
制服警官の一人が声をかけてきた。
「三島さん……今年も?」
「ああ、地元だしズッと海水浴場の事を知っているからなぁ……今年からは駐在するぞ」
「そうして貰えると助かりますよ」
「去年の様な面倒な事は県警も御免だよ……だからコレになったんだよ」
三島は定年まで後一桁となった昨年に日下部らと知り合いになる。当初は大学生と企業の技師と思っていて接していたが自身が夜間にパトロール中に職質した連中が“産業スパイ”……そうとは知らずに接した為に発砲された。とっさに回避し銃弾は帽子を霞めた。余程、警察に知られるのが厭だったのか始末しようとしたが日下部らが襲撃して事なきを得た。
「本当に大変だったぞ……警視庁に公安連中まで来たのだからなぁ」
遠い目になった三原、当時は冷や汗が出たが自分が左遷所か解雇にならずに済んだのは日下部らの上官が県警や警視庁やらの各方面に三原の現状維持を強く求めた(=脅迫)と言う流れは想像がついた。
「二度と起きないように公安も結構動いてますからねぇ」
「全く……で、どうだい?」
「順調ですよ、トラクターの方は……早々、張教授のお孫さんも見えてますから一応用心を」
「?」
「トリガージャンキーの陸軍准尉が居ますから♪」
三原は一応拳銃を確認しておく。

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