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TRADEAD
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TRADEAD 9

 
格好つけて答えてくれたのはいいが…その答えでは、俺の場合と少しずれている。
 
聞いてみようか…
 
「じゃあ、もし自分が既に死んでて、たった今仮の世界で生き続けているとしたら?」
 
普段無表情な広孝の眉が、ぴくりと動いた。
 
「……明日」
「?」
「明日までに答えを用意しておく」
 
自分の席に帰ってしまった。俺はソクラテスでも困惑する状況に追い込まれているのか…
分かっていたつもりだったが、今、実感が湧いてきた。
諒平はさっきよりも難しい顔をしている。こいつも考えているのだろう。
改めて、片桐先輩に会いに行こうと思った瞬間、始業を告げるチャイムが鳴った。


今日も周りはいつも通り。
やたら頭抱えている奴と、授業そっちのけで哲学書を読み耽っている奴はいるが。


「高見真哉!」

「…!?カフッ」

おい…待て。
声が出ない。

「高見、風邪か?」
今は頷くしかない。
「そうか。あまり無理はするなよ」
社交辞令。しかし今はそれがありがたい。

もう一度、俺は頷いた。


その後の授業は、担任が気を利かせてか、他の教師にも俺が声を出せない事を伝えてくれたらしく、無事に終わった。


珍しく諒平は早弁をしていなかったが。



遂に、昼休み。
俺は昨日と同じように弁当を持って屋上に向かった。

諒平は弁当箱を眺めながらうんうん唸っていて、ソクラテスは俺の行動をチラ見していたが、なにやら難しい顔をして考え込んでいる。

心配されないのは寂しかったが、声を出せない今の状況では非常に助かった。
夢と合わせれば三度目、いや記憶に無いだけで実際はもっと行っているのだろうが、屋上へと続く階段を上がる。

立入禁止の札を無視し、屋上への扉を開ける。


「こんにちは。声が出なくなったりしてない?」
片桐先輩だ。
って、え!?

何故知っているんだ?
この人はエスパーか?
いやストーカーか?
やはりこの人の目的は燃料なようだ。

声が出ないので頷く。

「今日、高見君に麻酔をかけたの。こっちでも何か影響があるかもって言われて、ここには来れているから、あるとしたら声が出ないとかかなって。」

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