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TRADEAD
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TRADEAD 8




…気付けば、朝だ。
夢を覚えているのは嬉しいが、今時ぎゃぁは無いだろう。
せめてうぉぉとか、何か頑張ってる所を見せて欲しかった。
格好悪いな俺。

あまり気が乗らないが、とりあえず学校へ行こう。
朝食を食べ、身支度。
努めて普段通りを装った。

こんな毎日でも、別にいいんじゃないか。
すべて無かった事にしても。



歩きながら、色々な考えが浮かんだが、片桐先輩に話をしなければならない。
そんな気がした。
理由は特に無いが。

今日も登校は一人。
だけど、いつもよりさみしく感じた。

「おはよう真哉!便秘!?」
学校について聞いた最初のセリフは、いつもどおりこれだった。
いまおれ、けっこう落ち込んでるんだけど…。

人のテンションお構いなしかこいつは。


「…なあ諒平。おまえもしこの世界が全部夢だとしたらどうする?」

おれはつい、聞いてしまった。
もちろん昨日のことがあるからだ。

「はあ?なにそれ?ポルノの曲?」
はあ?…ああ。そういえばそんな曲あったな。

「いや違うよ。真面目な話で」
諒平は珍しく悩んだような顔をして、言った。

「別に問題ねえんじゃねえの?自分がたのしければ」

…こいつ、すごいな。
…俺にそんな考えは真似できん。達観しているのか、ただの馬鹿なのか…或いはその両方か。
 
「ま、そういう事は俺じゃなしにソクラテスに聞くんだな」
 
ソクラテスとはこのクラスの一員、野上広孝の事…あまり目立たず、口数も少ないが、一度話し出すと哲学的な内容に突っ走って行く変な奴である。
因みにこのあだ名は、哲学者といえばソクラテスだろう、と適当につけられたものである。誰がつけたかは言うまでもない。
 
「いや、いい。あいつと話すの面倒くさい」
「おい、ソクラテス!真哉が聞きたい事があるらしいぞ!」

おのれこやつは…
 
「聞きたい事って何だ高見?」
 
こうなったら仕方がない。
 
「いや、まあ、この世界が全部夢だったらどうするか、と…」
 
ソクラテス広孝はすぐには答えない。
…しかし、こいつは何を考えてるのかさっぱりわからん。
 
「人生は一場の夢。大抵の人間は一度はこの考えに行き着く。特に思春期にありがちな事だ」
 
お前そんな事言える年か!あれか?精神年齢は実年齢の数倍か?
 
「…で?お前だったらどうするんだよ?」
「この世が夢であろうが関係無い。俺はこれまで通り生きるのみよ」

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