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TRADEAD
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TRADEAD 7

つまり、ここは元居た世界。
今から俺は落ちるんだろう。
片桐先輩を庇って。


立入禁止になったのは俺の所為だなんて、考えもしなかった。

「誰っ!?」
背後から声がした。
"俺"が振り向くと、予想通り、片桐先輩。

ボロボロの柵の前に立ち、靴を脱いでいた。

(ベタだな。)
"俺"も何をしようとしてるのか分かったのだろう。
「あ、修理ですか?」
そうくるか。

(アホだな。)
「…えっ、あぁうん。」
そうなのかよ!
「一年の高見真哉って言います。風紀委員の人ですか?」
夢の中…なんだよな。
こんなはっきりと会話聞こえるなんて変だ。

「うん…先生に錆びてるから見て来てって言われてね?」
生徒に見せても何の意味も無いじゃないか。
早く修理業者に頼めよ先生。

まぁ、嘘の話だろうが。
「そうですか。ここで弁当食ってもいいっすか?」
なかなかのマイペースぶりだな"俺"。
我ながら感心してしまう。
「えっと…錆びてるトコ飛んだりするから、今日はここで食べない方がいいかな。ごめんね?」
足元を見ると、柵の破片が散らばっている。
確かに今ここで食べるのは危険なようだ。
「そっすか…んじゃ別の場所探します。」
「ごめんね…明日なら、大丈夫だと思うから…」
「?…あーい。じゃ、落ちないように気をつけて下さいねー」
気付けよ"俺"!
明らかに態度おかしいだろうが!

そんな思いも虚しく"俺"は屋上から出た。
階段を、降りる…
「っかしーなー、なんで靴脱いでたんだ?破片が足に刺さるよなぁ…うん。注意してこよ。」
論点はそこか。
まぁ"俺"にしてはよくやった。

また屋上へ戻り、"俺"が呼びかけようとした所で「危ないっ!」
柵に向かって前のめりになっている片桐先輩。
走る"俺"。

片桐先輩の右手を掴み、引っ張る。
反動で、前進する。

つまり、錆びた柵に体当たり。
柵、壊れる。
"俺"、まっさかさま。

なんとかギリギリで片桐先輩の手を離したので、道連れは避けられた。

なるほど。
こんな流れだったのか。
"俺"ほんと馬鹿。
恥ずかしいよ。
「あ、弁当…今日ゴボウ大盛なのに…」

馬鹿に拍車をかけるな!
何かの本で、人は高速で動くと、周りがゆっくりして見えると書いてあったが、そんなことは無かった。
夢だからかも知れないが、走馬灯なんて見てる暇は無い。
どんどん地上が近づいてくる。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
うるさい男だな"俺"は。

植木に落ちた所で、意識が飛んだ。

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