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TRADEAD
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TRADEAD 4

つまりこの人は、俺を機関車に投入するべく派遣された燃料補給係なのか。

などとどうでも良い妄想をしていると、片桐先輩が口を開いた。
「びっくりしてるよね…」
一瞬燃料の話かと思った。
「え、まぁ、少しは。」
正直すごいドキドキだ。どんな展開が待っているのだろうか?
このあとすぐ!

CMは用意していない。
ごめん。
「高見君にとっては初対面だろうけど、実はあたしは初めてじゃないんだー」
本当にすぐだった。
「どこかで会いました?」
「違うの。変なこと聞くけどいい?」
体重については勘弁して欲しいが。
「はい。」
「昨日の記憶、ある?」




はぁ!?
何を言っているんだ。
あるに決まっている。
それとも寝呆けていた時の話だろうか。
「とりあえず、意識がはっきりしてる時のは。」
「じゃあ、おとといは?」
何だ?話の流れがおかしい。
アルツハイマーの心配でもしているのだろうか?
確かに若年性認知症があるとか聞いたことがあるが。
だけど普通そんなこと聞かないよなぁ。
まぁ、俺が夢遊病であちこちに迷惑をかけている話ではないようだ。安心した。
「普通にありますよ。」
細かい事まで覚えている自信はなかったが。
「じゃあ、おとといあたしがここから飛び降りようとした事も覚えてる?」

いきなりの爆弾発言だな。
さすがにそんなことがあったら覚えている。
「何かの冗談ですか?」
片桐先輩が飛び降りる理由が見つからないし、冗談であって欲しい。
「違うよ。あたしが飛び降りようとしたのを高見君が助けようとして、落ちたの。」



…覚えていない。
と言うか、知らない。
「人違いじゃないですか?」
この高さから落ちればただでは済まない。
記憶が無くなる程、頭を強く打っているのなら今頃病院だ。

「人違いでもないよ。ちゃんと見舞いにも行ってるし。」
じゃあ俺は誰なんだ。
俺がもう一人居るとでも言うつもりだろうか。
「ごめん。不安にさせちゃったよね…」
まったくだ。
冗談も程々にして欲しい。
「でも本当の話だよ。高見君は今、生死の境をさまよってる。」
さっきから頭が痛い…
「じゃあ俺は入院中で、今俺がいる世界は夢だとでも?」
いかん。語尾が荒い。
「あながち的外れでもないけど、ちょっと違う。この世界は確かに存在してるって聞いたよ」

おととい…おととい…必死に思い出そうとしているがわからない。
さっきはいつも通りの日だった気がしたが、それ以前の記憶もないかも知れない…

「それは誰から?」
頭痛がひどい。
うまく声が出せない。
「太田さん、だったかな。」
誰だよ…
「その人が言うには、高見君は元いた世界とよく似ている世界に行ってて、それがこの世界なんだって。」
話飛躍しすぎだよ。
だけど、この話を否定できない自分がいる。

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