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TRADEAD
その他リレー小説 - ファンタジー

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TRADEAD 26

うわっ。
耳がキーンっていったぞ、キーンって。
突然クリアになった視界に映ったのは、一度見たら忘れられないインパクトの迫力美人。
猫のような目がこっちを睨んでて、うう…、怖い。
「まぁまぁ、落ち着いて」
太田さんと門真さんが押さえていてくれなかったら、…俺、命が危なかったかもしれない。
「これが落ち着いていられる?! この私が貴重な時間を削られたっていうのに、なにを暢気に寝てるのよ!」
「あ…の…、」
なんていうかその、……どちらさまですか?
「翔子、そんなにまくしたてるなよ」
「そうですよ。高見君が気絶状態から回復したとは言え、まだ現状確認で精一杯でしょう」
「だからぁ!私は今から会議に行かないと間に合わないのよ!」
「それは翔子が早く自分の仕事終わらせば問題無かっただろう」
「だからぁー覚醒してないと出来ないんだから、しょうが無いでしょ?」
「起きる確証も無いのに、律義にギリギリまで待っている辺りが如月さんらしいですけどね」

…何だ?
話が全然読めない。

「なんだかわからないって顔ね。まあ、…いいわ。優しいお姉さんが簡潔に教えてあげる」
ど、どのへんがやさしいって…?
「何か言った?」
キロッ、と猫目がこっちを睨む。な…何にも言ってないのに……。
「あなたはアナザーとミラーを移動した。その事実によって、時空に歪みが生じる。
その歪みによって……、ああもうめんどくさい!!」
「とにかく私は、そうね…。中和の能力とでも呼ぶのかしら、酸性だったらアルカリ性のものをぶっかけて、
その逆なら逆の行為をして、世界を中性の状態に近づけるのが役割なの」
如月さんは、はああ、と大きくため息をつき、
「あなたの移動が、世界に影響を与えてる、ってことと、そのせいで私の仕事が増えたってこと、
一言文句を言わなきゃ気が済まなかったのよ!」
それだけ!!、と言うが早いか、ダッシュで走り去ってしまった。
あああ、病院は走っちゃダメなんじゃないだろうか。
そもそもここが病院かどうかはわからないが。
「相変わらず、嵐のような女だな」
「無口よりは良いんじゃないですか?」

 何だか存在を忘れられているような気がする……。
「そうかもな。まぁ、後はシュウに任せるよ。高見君、お大事に」

 状況が掴めないのに、一番色々知ってそうな人が居なくなるのは困る。「大丈夫ですよ。僕から説明します。それじゃ、お気をつけて。太田さん」

「あ、ありがとうございました……?」
「はは、感謝されるような事はしてないよ。詳しくはシュウに聞くといい。それじゃ」

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