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TRADEAD
その他リレー小説 - ファンタジー

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TRADEAD 27

 そう言いつつ、太田さんは去って行った。
 心なしか急いでいるように見えたのは気のせいだろうか?

「では、僕から状況を説明しますね。高見君は今まで、良く似た別の世界に意識だけ行っていました」

 おぼろげだが記憶が蘇ってきた。しかし意識だけだと夢を覚えているようなもんなのか?
 それだと記憶という表現は正しくないのか。
 まぁどうでも良いが。
「それから、僕と太田さんが高見君の意識に入り込んで、一応現実世界に戻ってきた、という所でしょうか」

 ん?じゃあ、この人達以外の人間は虚像だったのか?

「一応と言ったのは、この世界が、厳密には正しくないからです」
 正しくない? じゃあ今の世界も夢みたいな物なのか?
「それは……」
 門真さんが話している途中で勢いよく病室の扉が開けられた。

「あぁ、早かったですね」
「あんな意味のない会議なんて真面目に出てられないわよ」
 先程のお姉さんだ。
 しかしいくらなんでも早過ぎやしないだろうか。

「で? 説明は終わったの?」
「如月さんが来るの早過ぎてまだ何も説明出来てないですよ」
「とろいわねー。あ、怜二帰ったの?」
「そりゃあ、帰りますよ。あまり長居しちゃまずいですからね」
 謎の多い人達だな……。もう何から聞いて良いのか分からない。

「そうだったわね。じゃあ高見君、とりあえず頭ハッキリしてきた?」

 スッキリしてモヤッと状態だよ今は……。
 しかしそんな事を言えるハズもなく。
「えーと、まぁ、少しはすっきりしてきた……かな? と」

 ここは無難に答えとくのが賢明だろう。

「ハッキリしないわねー。まぁいいわ。説明の続きどうぞ?」
「そうですね。えっと、どこまで話しましたっけ……あぁ、この世界の位置づけでしたね」

「高見君が行き来したから、どこか歪んだ世界って事よ」
「言い方きつくないですか? それに邪魔しないで下さいよ」

 この二人は仲が悪いのだろうか……。

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