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TRADEAD
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TRADEAD 20

そんな訳ない。

「たまには運動しなきゃと思って…」
我ながら苦しい言い訳だ。


「あ、そっか。運動は大事だもんね」
オイ!!
納得しちゃうのかよ!

さすがは天才…
天然の才能だ。


「門真さんはまだ来てない?」
「うん。たぶんもう少ししたら来ると思うけど…」
「じゃあ、今のうちに弁当食べておこう」
今日は色々聞かなければならないので、ゴボウを食べそびれる可能性がある。

俺はまず弁当を平らげる事に神経を集中させた。



弁当を半分くらい平らげた所で、屋上の扉が開く音がした。

「遅くなってしまったようですね。すみません」

門真さんの登場に、慌てて口の中の物を飲み込む。
…何だか今日は慌ててばかりだな。
「あ、こんにちは」
片桐先輩が門真さんと、もう一人の人に挨拶した。
え、もう一人?
「やぁ、片桐さん。高見君は初めましてだね」
「はっはい」
「あぁ、食べながらで良いよ。俺は太田怜二。シュウと同じように、業者のフリして入って来たよ」
「いやだから僕は狙ってその方法取った訳じゃないですって」
門真さんがすかさず弁解する。
「でも今日は修理です、って言って入ってきたじゃないか」
「それは…良いじゃないですか。ところで高見君、昨日から何か変化はありましたか?」

話題を変える口実にうまく使われてしまったようだ。
…夢を見なかった事は伝えるべきだろうか。

「夢を見ないように出来るかを試していたので、見てないです」
「なるほど。それでは特に変化が無かったようですね。しかし慎重なのは良い事ですよ」
咎められなかったので、少し安心した。
俺は昨日考えていた質問をしてみる事にした。
「この世界の屋上が立入禁止になっている理由って何ですか?」
「それについては俺が説明しよう」
どうやら太田さんの方が詳しいらしい。

「アナザーでは高見君が落ちた事で閉鎖になった。それが少なからずミラーにも影響しているようだ」
「諒平って奴に聞いたら柵の修理で立入禁止になってる、と言われたんだけど」
「なるほど。若干食い違う部分があるようだな」
「でも俺は誰かが落ちたって噂を聞いたんです」

「それは誰から?」
若干の空白があり、太田さんが聞いた。
「それが…誰から聞いたのかわからないんです」

「…あくまでも推測だが、高見君が落ちた事を忘れていた点から見て、軽く記憶障害があるのかも知れない」
「記憶障害?」

確かに現実世界の記憶はあやふやだが…
「つまり、高見君の記憶のどこかで落ちた事を覚えていて、それが噂であると誤認してしまったのだろう」

…全て俺の思い違いだったと言うのか?
「だが、必ずしもそうとは限らない。まだミラーについては不明な点が多く、この世界が高見君の意識の中の世界なのか、別次元の世界なのかはっきりとは判らない」

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