TRADEAD 13
納得のいかない顔をしていると、ソクラテスが再度口を開いた。
「まぁ、大事なのは"今"だ。たとえもう死んでいるにせよ、過去にどんな辛い事があったにせよ、俺達には平等に時間が与えられているのだから、自分なりに必死に生きていけばいいのではないか?」
…確かにそうだ。
結果を気にしてもしょうがない。
俺は"今"出来る事をしよう。
「ありがとう。非常に参考になった。」
素直にお礼を言っておいた。
「いや考える事は好きだ。礼を言われる程ではない。」
やっぱこいつ面倒臭い。
…まだ少し時間がある。
先程から意見を言いたくてウズウズしている諒平に意見を聞いてやろう。
仕方なくな。
「諒平はどういう結論に至ったんだ?」
待ってましたと言わんばかりの目の輝きよう。
「俺は、やっぱりやりたいようにやるのが一番だと思う。」
期待外れだった。
いやむしろ期待通りだったと言うべきか。
「確かにな…」
突如ソクラテスがそう言いながら笑い出した。
ソクラテスも笑う事があるんだな、と新たな一面を見れた気がした。
たまには役に立つじゃないか、諒平。
やりたい様にやる、か…
俺は自分自身も先輩も両方助けたい。そもそも可能なのか、という不安が残るが…
そんなことを思案していると、いつもの点呼担任だ。
まったく飽きもせずよくやるよなぁ…
「高見真哉!風邪は大丈夫か?」
…ん?
あぁ、そんな話になっていたんだった。
まぁ弁明の必要もないだろう。
「へーい。大丈夫です」
午前中の授業は、やはり眠かった。
ふと気付いてノートを見た時に奇怪な図形が描かれていたが、睡魔に負けて寝ていたなんて事は誰にも言えない。
が、昼休みに屋上へ行こうとすると、諒平が近付いて来た。
「お前寝てんなよ」
「は?俺がいつ寝ていたと?証拠はあんのかよ証拠は」
「いびきが聞こえた」
…これは恥ずかしい。