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TRADEAD
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TRADEAD 12

そういえば、昨日今日会っている先輩は、元の世界の先輩…この世界の先輩は、どうなったのだろう。
この世界の先輩は、飛び降りに成功…な訳ないか。それだけの事があれば流石に分かるだろう。若しくは、普通に生きているという可能性もある。
もしかすると、元の世界の先輩はこの世界の先輩に乗り移っているのかも知れない。
…先輩に直接聞くしか無いのか。
学校に行ける自信は無いものの、行かなければ何も解決しない。

そう思い、俺はとりあえず眠る事にした。

今までは夢を覚えていたいとか、夢を見たいなどと考えていたが、今だけは見たくないと思った。


どうか、何も見ませんように!



 



 


思いの他、何も見ずに済んだ。
夢を覚えていない事を幸せに感じたのは初めてだろうな。


俺は何とか朝食を流し込み、学校へと向かった。



今日は諒平の便秘攻撃は無いだろうと思っていたのに、やたらと笑顔で近づいてくる。

…気持ち悪い。
どっか行ってくれないだろうか。
「よぉ真哉!電気?」

なるほど、それでやけに笑顔だったのか。
しかし俺は負けない。
「快便だ。」
漸く胸の内を明かせて良かったなと思う。
「あぁそう。でさ、昨日の話なんだけど…」

こやつ、効いていない!?いや聞いていないのかも知れない。
ところで昨日の話って何だ。

あぁ、この世界が夢だったらって話だろうか。
そういえばソクラテスこと野上広孝も今日までに答を用意しとくと言ってたな。

丁度ソクラテスも来た事だし、先に聞きに行こう。
「いや、いい。野上に聞く。」
どうせ諒平は当てにならん。
「色んな奴の意見聞いといた方がいいんじゃないのか?」

珍しくまともな事を言う。
「わかった。後で聞いてやるよ。」

担任が来る迄の貴重な時間を諒平に奪われたくはない。
俺は賢明な判断をしたと思う。
諒平には嫌そうな顔をされたが。
「野上おはよう。結論は出た?」
「あぁ、高見おはよう。一応は出た。」
一応、そうか一応か。
しかし諒平よりはまともだろう。
先を促してみよう。
「聞かせてくれ。」

「わかった。まず、全ての人間が自分の存在を証明出来る訳ではない。たとえ仮の世界だとしても、自分が確かに存在した事を誰かが覚えてくれれば、それでいいのではないだろうか。」

この世界で、あやふやな存在でも、生きていけばきっと何かを遺せるという事だろうか。
しかしそれでは今後俺がどうしたら良いかの指針にはならない…

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