PiPi's World 投稿小説

フリークスバスター
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 7
 9
の最後へ

フリークスバスター 9

二人のフリークスの会話の中でリーフォルは必死に呼吸を整え、気息を整えていた。

刀とは何か。その答えは人それぞれだ。千差万別。自分を守るためか、他の者を守るためか、ただ力を得る手段か、成り上がるための方法か。そりゃ千差万別、十人十色だ。だから俺が言うのは一つだ。そんなの人に聞くもんじゃねぇよ、バーカ。自分で考えろ。

師匠の言葉を思い出しながら両腕の激痛を堪えて咒によって可能なかぎり軽量化させた氷の双剣を構える。氷というよりも透き通るそれは硝子の双剣だ。


「グルウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

獣じみた咆哮をあげて剃髪の男が棒を振り下ろす。爆発と共に砕け散る地面と噴き上がる土砂。たった一撃で大地が陥没し穴が生まれる。そして男は更に乱暴に棒を振り回す。明らかに技などない単純な動作だが暴力的な破壊力だ。

けれど受け止めることは出来ない。触れれば血肉ごと骨をうち砕かれる。硝子の剣では防禦することも不可能だ。リーフォルは両手をだらりと垂らしながら瞳だけは爛々と輝かせる。

使えぬ腕ならこの腕は腕じゃない。毒蛇の牙。防ぐな、交わせ、血肉を削っても相手の懐にもぐりこんで一撃必死の牙を突き立てる。

リーフォルは気息を整えて一撃必殺の打撃が渦巻く竜巻の中へと飛び込む。まず右肩へと振り下ろされる攻撃が来た。防禦することは無理とそのまましゃがむことで躱し、吹き荒れる土砂に体を叩かれる。
そして体の勢いのままに剣を相手の脇腹へと走らせる。刃は肉を抉り、骨を通過する前に砕け散る。

「チッ、硬い! 硬気功か!」

やはり軽量を少なくした為に剄が乗らない。舌打ちしながらも相手の鳩尾に前蹴りを打ち込み、更に発剄を通す。手応えはあった。衝撃は相手の臓器全部に走ったはずだ。それなのに反撃がすぐに来た。いや反撃というよりも相手が撃とうとした攻撃が止まらない。鳩尾を貫くような衝撃に肺の中にあった息と胃液をぶつ撒けた。

「がぁあああっ!!」

何を撃たれたのかはわからなかった。ただ間違いなく杖術の一撃でなかったことは確かだ。もしそうだったらリーフォルは死んでいる。背中に電撃を浴びたように痺れが走る。それでも身体を捻って突き刺すように放った戦棒の攻撃をかわし、そしてまた正体不明の打撃が顔を打った。

「がぁつ! げほっ、がはおっ!」

鼻がつぶされ血が飛び散る。鉄臭い血の匂いを鼻の中で感じながら手で鼻に詰まった血を捨てた。頸や咒を作るための呼吸は常に必要だ。ダクダクと鼻から血を零しながら相手を睨みつける。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す