PiPi's World 投稿小説

フリークスバスター
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 3
 5
の最後へ

フリークスバスター 5

部下を見殺しにしただろうという台詞に剃髪の男はただ笑った。そして獲物である戦棒を構える。リーフォルの無骨な装飾一つも無い鋼の剣とは相反するほどきめ細かな色彩が散らばった戦棒だ。

「ま、結局無駄だったがな。たった三太刀じゃどうやっても見切れん。ということで、お前たち」

男の言葉に近づいていた山賊達がそれぞれの武器を構える。槍や剣、峨嵋刺などを構えて十八名程の男たちがリーフォルを睨む。

「全員でぶっ殺すぞ」

一斉に突き出された槍をリーフォルは剣で流す。一斉と言ってもそこは人間。錬度が違えば腕力も違う。最初から最後の二番目まで剣で逸らし、最後の一人の腕を切り落とす。悲鳴が飛び散り、リーフォルはそのまま槍の方陣を突破してとりあえず一番近くにいた暗器使いの腹を割いた。

俺の流派は虎とか狗とかそういうカッコイイ動物を模様した剣じゃねぇ。あの蛇よ。相手の攻撃をスルスルとかわし一撃必殺の毒を相手に叩き込む。防禦なんてのは交わせなかった時ぐらいにしてろ。

師匠の言葉を思い出しながら更に剣を三閃走らせる。

「がっ!」
「ぐっ!」
「ごほっ!」

血肉を撒き散らし地面に倒れて悲鳴をあげる山賊たち。
更に流れる剣戟をリーフォルは交わし、その顔面を鼻から一刺しにしながら背後からの視線に気付いていた。見ているな、と思った。剣をあわせながらも神経は剃髪の男の動きのみを追い続ける。蛇が体温で獲物を狙うように感覚だけで相手を捕らえる術を学んでいる。

そして、それは斬り合いの途中に突如来た。

「剛突!」
「っ!」

袈裟斬りに目の前の中年を切り払った所で背後から苛烈な刺突が放たれる。振り向いて逸らすことに間に合わない。舌打ちしながらも咄嗟に剣を背中に回す。轟音と共に背中から爆発したような衝撃に、吹き飛ばされ無様に地面に転がった。

「がっはぁっ、ごほっ」

練りこんだ剛剄が相手の硬剄を辛うじて軽減させたからいいもの。もう少しでも功夫が足りなければ剣ごと背骨をへし折れていた。体の中で何かが軋むような痛みを訴えるのは受け切れなかった剄が体内で暴れてるからだ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す