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フリークスバスター
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フリークスバスター 11

「さて、どうする? 今度は妾とやるか?」

金髪の少女の周りの雷光は既に小さな紫電ではなく巨大な大蛇のように轟き、必殺の牙を鳴らして威嚇していた。恐らく俺たちの最中にも常に呪力を練りこんでいたんだろう。それに対し、火鼠と呼ばれた男には呪力を練りこんでいた気配が無い。

「いいえ、やめておきます。私の任務は終りましたから。余計なことをして手傷を負うようなことはしたくありません」
「臆病者が」

麒麟の周りが渦巻いていた雷光が無数の散弾となって火鼠を強襲。その破壊力に周りの木々や大地が削り飛び、土煙が吹き荒れる。その中を火鼠は炎を纏った手を突き出すことで全てを弾いていた。雷をより強力な炎で防いでるんじゃなく雷の侵攻方法を高熱の炎によって軽くそらしている。数百の散弾、放っている麒麟の少女にも軌道がわからないバラ撒きを全て予測してやがる。

「くそくそくそくそぉ!」
「媛様。そういう言葉遣いはやめたほうが良いと思いますよ。侍女長が嘆きます」
「お前が教えたんだろうが!というより、一発はくらえ」
「いやですよ。痛いですし」

散弾では捉えきれないと巨大な雷光が直線に走る。
それを右手の一振りで弾き、弾かれた雷光の龍は空を駆けて向こう側の小さな山に触れ、消し飛ばす。大魔法並みの破壊力の咒をたった一発の拳で弾き飛ばすのか。

しかし、そのタイミングで走った少女の拳が頬に叩き込まれる。
轟音。軋む音と共に男の顔が歪み、そのまま衝撃に耐える。
こぶしの間から覗く双眸に麒麟は背筋が震えた。
咄嗟に後ろに跳ぶ。
人外の脚力だ。一瞬で十メートルは飛ぶ。火鼠は動かず、首を鳴らした。

「踊れ、雷刃」

麒麟の指先から日本刀のような鋭い刀身が生まれる。青白い雷光から咒を高密度で圧縮した魔法剣。麒麟は横薙ぎにして刀の刃を飛ばした。三日月の刃が火鼠の衣に突き刺さり、砕かれる。砕かれた瞬間に内部に閉じ込められていた高圧電流が解放され、青白い紫電の嵐が吹き荒れた。

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