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暗殺少女
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暗殺少女 5



町をうろついていると、妙な物……いや人を見付けた。青白い光を纏い、俯きながらフラフラと歩いている。あれはまさか……?
近付くのはやめておく。勿論怖いからに決まってる。
そして親父を探す気も無い。これだけあちこち回って、漸く見付けたのが一人。いつまでもこの世には居られないんだろう。
ふと空を見ると、赤い。もうこんな時間か。帰って寝るとするか。
外が明るい。朝だ。眠れなかった……当然か。
窓から朝の清き光が伸びている。何か妙な心地がするんだが正体が分からん。もう少しじっとしておくか。

時計を見ると、六時になっていた。
台所の方から足音が聞こえる。行ってみると、母さんだった。目が充血している。母さんも眠れなかったのか。少し、いや、かなり嬉しい。今日も忙しいだろうが、頑張って欲しい。

する事も無いので学校へ行く事にした。こんな早くに行くのは生まれて初めてだ。

花を活けた花瓶があった。俺の机の上に。

「一瞬イジメかと思ったじゃねえか」

『机の上に花瓶』はイジメの定番だ。しかし俺の机の上に置いてある花瓶は、本来の目的に従っている。

「校倉敏明」

不意に俺の名を呼ぶ声が聞こえた。

「だ、誰だっ!」

振り向くが誰もいない。

「ここだ」

下から声がする。見ると机の上に黒板消しが“立って”いた。
黒板消しが裂け、口のように動いた。

「御迎えに上がりました」

御迎え……遂に来たか。何故黒板消しの姿を借りているのかが気になるが。

「何で黒板消し?」

思わず聞いてしまったじゃねえか。突っ込み易い姿で現れやがって。

「この場所に一番相応しいと思ったからだ……だが今はそんな事はどうでもいい。魂を渡して貰おう」

……何か引っ掛かる言い方だな。

「渡したらどうなるんだ?」
「……」

答えない。

「何で黙るんだよ」
「死神は嘘が吐けない。だから黙秘する」
「……へっ?」

死神?死神って生きてる奴を死なせる奴じゃなかったか?俺の考える御迎えと違うんだが……
何か腹立ってきた。

「いいから話せよ黒板消し」
「霊体……精神が消滅する。即ちお前という存在は完全に“死ぬ”」
「はぁ!?」

待て待て待て待て二つの意味で待て

「じゃ、じゃあ魂はどうなるんだよ。それに何で答えるんだよ」
「死神は黙秘後も要求されると、答えなければならない」

何だそれ?

「……魂はどうなる」
「“宇宙”に還元され……精製後に再利用される」

それなんてリサイクル?アルミニウム思い出したぞ。

「精製って何よ」

俺聞いてばっかりだな。仕方無いか。

「魂には人格や記憶が移っている事があるからな」

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