暗殺少女 24
「黒式尉(コクシキジョウ)、または三番叟(サンバソウ)。見た通り黒い翁で、他の翁面と同じく神格だけど少し庶民的な印象も受けるね」
儚は無言で面をつけた。全身を黒い服で被う儚の、唯一白かった部分が隠れた。
「あげる」
「……ありがとうございます」
「そのまま歩き回ると危ないよ」
面は視界を殺す。
「この程度なら……透視できます……」
「……こうしてる間に覚悟が決まったよ」
「……」
悟は向き直った。
「死神にしてくれ」
「……了解しました」
儚は待っていたかの様な早さで返事をした。
これで次の日には死神の卵だろう。
校倉悟は僅か一時間で社会的な死に踏み切った。
異常だが、何故か儚はこれが軽薄な行動だとは思えなかった。
第九話『神殺し』
ある日、景は召集を受けた。例の“この世ではない場所”へ来い、との事だった。
「今回君達を呼び出したのは他でもない、神殺しを依頼するためだ」
呼び出された三人のジャッジメンターは他皆特権持ちのようだ。担当する死神の姿が見えない。
「神、ですって?」
「そうだ。一週間前に一人の死神候補が成り損なった」
「詳細は?」
「人間名藤村翔。二年前、死後に死神化を承諾、現在は健康を司る神となったが安定せず、殆ど疫病神化している。他に質問は?」
神……彼等は神族にもなりうるのか。
「相手の能力は?」
「自分で調べろ」
「今は何処に?」
「不明だ。最後に確認された場所に移動してもらう」
「……過去似たような例は?」
「多くはない。ただ私の経験から言うと今回成功の見込みは十分にある」
死神は髪で右目を隠したジャッジメンターの質問を全てさばいた。
「仕方ない。とりあえず、そのターゲットが
『最後に確認された場所』に行ってみよう」