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クロノセブンス
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クロノセブンス 10

リッディが全力で振りおろした曲刀は、Bの鉄の爪に簡単に防がれてしまう。そしてがら空きの背後からAの双剣がリッディの首に突き付けられた。
「はい、アウト」Aは不気味な笑みを浮かべると、刃ではなく、何故か剣柄でリッディを殴り飛ばした。
「これでお前を殺れるという事は証明された、実力はあるがお前は殺れない、お前なら分かるだろ?リッディ・グランスウォール」
「チッ、親父の仲間か…、どうりで腕がたつ訳だ」
殴られた場所を押さえながら、A,Bとの間を跳んであける。
少し考えた後、奥歯を噛み締めるリッディ。
「だけど、あんたら…俺をどうするつもりだ……?」
その問いに度肝を抜かれるA,B。
「だって、攻撃全部急所はずしてあるじゃん」
少しの時間が経ってA,B同時にため息をつく。
同時にかぶりを振り、得物をしまう。
「ばれちゃったか。簡単に言えば、力を見に来た」
「力がなかったら殺すつもりだった」
「だが、お前の父からの遺伝かは知らんが実力はある」
「めんどうだが、経験が付いたら迎えに来る」

リッディは空を見上げる。
「困るな。迎えに来られても、俺は親父のところには戻らない。あいつは、人じゃない。お前らだってわかるだろ」
強く意思を込めた目でA,Bを見つめる。だが、その目の先はA,Bを見つめているようで、見ていなかった。
陰りのある瞳だった。
「だが、あの人は強い。強ければこの世界では食べていける。ギルドのような弱い者の集まりに入らなくても生きていける」
「それに恩もある」
リッディの目が説得しようという目から、哀れみを感じさせる目に変わる。
「そうか、だがもう一度俺達は、いや俺達かは知らないが迎えに来るぞ」
「その時までに決めておけ。拒否はできない。拒否したら……わかっているな」
それだけ言って、A,Bは高く跳躍し、近くの壁を使って2段ジャンプをしてどこかへ行ってしまった。
今までの出来事にうつむき、悩み続けるリッディ。
だが、空を陽気に跳ぶ鳥の鳴き声に励まされたのか急に顔を上げ町の大通りを進む。
「悩んでいても仕方が無いか……」
どうやら、素早く気持ちを切り替えたようだ。
リッディは宿の看板を見つけると、早速中に入った。
リッディは宿をとると、真っ先にベットへ向かい、死んだように眠り始めた。

──
次の日の朝、鳥のさえずりと共にリッディは目を覚ました。朝早いせいか、窓の外の景色に人の姿はない。
リッディはベットの上で胡座(あぐら)をかくと、曲刀の手入れをし始めた。
リッディの曲刀は、オリハルコンという特殊な素材でできている。それは非常に軽く、そして頑丈であるため、刃こぼれの心配などいらなかった。

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