PiPi's World 投稿小説

クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 4
 6
の最後へ

クロノセブンス 6

「なに、こいつらの仲間?」リッディはそばにあった死体に足をのせてみせた。
「仏に罪はない、その足をどけろ」
袴の男は鋭い目付でリッディを睨み付ける。男のあまりの豹変ぶりにリッディはおもわず足をどかした。
「…そうだ、君と取引がしたい、断ればここで死んでもらう」そう言うと男は腰の刀に手をかけた。
リッディは腕に自信があった、だからこそ戦う相手は選ぶようにしている、逃げるか戦うか、いつも選択肢はその二つだった。
「・・・そうかい、参考までに聞いておこうかい」
リッディはいつものふざけた調子で言ったつもりだった。
たが、それは袴を着た男の出す殺気が許さない。思わず血を拭い、しまったばかりの曲刀に手をとってしまう。
冷たく、はりつめた空気が辺りを漂い始める。
リッディの背中を一雫の冷や汗が流れたときだった。袴の男が急に切り出した。
「君は特別な物をもっているね」
「俺の持ち物が目的ってわけか、さすが盗賊の町だな」
リッディはポケットに手を突っ込むと、中のものを手に取り男に見せた。
「僕には聞こえる、君の鼓動が…、心配しなくていい取引は簡単だ、この町を出るといくつかの教会がある、どの教会かは分からないが、ライオンハートという宝石が隠されている、それを盗ってきてもらいたいんだ」
男はそう言いながら刀を抜く、そして何故かそれをすぐ元に戻した。
「なにそれ、脅しのつもりかい?タダでそんな取引するつもりはないね」
リッディは掌で曲刀を回転させ、挑発的な態度をとってみせた。
「君の後ろの虫を斬ってあげたんだ、ライオンハートを盗ってきてくれるなら、この町から無事に出れる事を保障する、どうだね?」
リッディにとってその取引はアホらしく思えた。町から出るぐらい自力できると考えていたから、割りに合わない気がしたのだ。
「悪いが─」
リッディが取引を断わろうとした時、突然背後から肩をつかまれた。リッディは素早くそれを振り払い、相手から距離をおくと息を飲んだ。相手には首がなかったのだ。
「…まさかお前が?」
リッディは反射的に曲刀を構えていた。男は笑顔で頷く。
「ニ大盗賊から逃げられても、僕からは逃げられませんよ」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す