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クロノセブンス
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クロノセブンス 5

「あった!」
ポケットから探り出した金貨などを袋に入れると、次の町へと歩き出す。
日が傾き始めていた。


リッディが着いた場所はとても奇特な場所だった。
通称、盗っ人町(ぬすっとまち)
大陸全土に名を轟かせた天下の大盗賊団が最終的に実を落ち着けた場所なのだそうだ。
義賊団として有名だった盗賊達のいた場所は今、凶悪な強盗、脱獄囚、殺人鬼の集まる町になっている。
「ヨォ兄ちゃん、迷子かい?」
その声は心配のあまり声をかけてきた気さくなお兄さんの声ではなく、獲物を見つけたハイエナのような鼻にかかった声だった。
一番、驚愕に値することはそこが町に入って5歩目の場所だということだろう。
リッディはふぅーっとため息をつくと、「邪魔だ」と気さくなお兄さんぶった男を押してどかす。
「そっか、まぁいいや。代わりにさ、俺たちの相手してくれないかな。暇でさ」
それを合図に屈強そうな男たちがぞろぞろと出てきてリッディたちを取り囲み、それをやじ馬が取り囲む。
「拒否権は…ないんだろ」
リッディの問いは薄汚い笑い声で返された。
「じゃあ、死ぬコース、半殺しコース、地面に頭擦り付けて土下座コース。どれがいい?」

「…皆殺しのコース」
「ァア?聞こえねえな!!」
リッディは溜め息をつくと曲刀を抜き、屈強な男たちを次々とねじ伏せる。その剣術は“斬る”ではなく、“断ち切る”といった感じで、血飛沫と叫び声が上がっていた。
「どうだい鮮血のフルコースの味は」
リッディが天を仰ぎそう言った時、それに答えられる者はそこにいなかった、ただ一人を除いて。
「後先考えないで戦えたのは強さを呼んだ、しかし君が斬った者達はこの町のニ大盗賊のメンバーだ…、死にたくなければ逃げろ、“地獄まで追われる者”よ」
積まれた死体を挟んで、袴(はかま)姿の男は言った。その男は笑っていて、リッディには不気味に見えた。

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