PiPi's World 投稿小説

クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 47
 49
の最後へ

クロノセブンス 49

この部屋の本来の主であるシルフェインが自ら剣を構え、叫ぶ。
「目的ぃ?クックック、親子のコミュニケーションを取るのを手伝ってくれればそれでいい」
蛇の化け物に姿を変えられた兵士達は、よろよろと起き上がると、王の間から姿を消していく。
すでに、兵士の半数以上が化け物に姿を変えていた。
「くっ、撤退だ!」
苦い虫を噛み潰したような顔をしたシルフェインが吐き捨てるように言い放つ。


「奴は私が!王はその間に!」
ヨーゼフはシルフィンの前で仁王立ちし、ブラッドに向け斧を構える。シルフィンは頷くと剣を握ったまま走り出す、それと同時にヨーゼフも走り出した。
ブラッドは破れた囚人服を着ているだけで、他には何も装備していない。一見無防備だが、ヨーゼフは彼の底知れない魔力に威圧感を感じていた。

「クックックッ、面白い。王の為に命を捨てる兵士たちか…、しかし、ただ死ぬのでは兵士としての誇りが許さぬだろう?」
「ウオオオオオ!!」
鬼のような形相で走りゆくヨーゼフ。ブラッドは彼に掌を向け、ヨーゼフを至近距離まで引きつける。するとブラッドの顔が奇妙に笑った。

「今日からお前は私の兵士だ…」
斧を振り上げるヨーゼフの胸にブラッドは腕を突き刺すと、黒い宝石を埋め込みすぐさま腕を引き抜いた。ヨーゼフは体を震わせながら膝をつく。

「ヨーゼフ、お客さんだ。じっくり相手をしてやれ」
何も答えないヨーゼフ。彼はただ膝をつき俯いているだけだった。突然扉が破壊されるまでは。

「見つけたぜ!ブラッド・グランスウォール…」
リッディによってド派手にぶち破られた扉は、宙を舞い一つずつ床に叩きつけられていった。手に握られた曲刀がブラッドを挑発する。

「今はお前の相手をしている暇はない。代わりに“魔戦人ヨーゼフ”が黄泉への案内人を務めさせてもらおう」
突然、操り人形のように両腕を引っ張りあげられて立ち上がるヨーゼフ。
垂れ下がり、地面を向いていた顔がリッディ達へ向けられる。
「!!」
ヨーゼフの顔は、すでに顔として昨日が果たされないほど変形していた。
目は落ち、もともと目のあった位置は、ただの空洞と化していた。
口は真横に裂け、皮膚の色が胸を中心に黒く変わっていく。
人間として事切れるまで、握り続けていた斧を取り込み、凶悪な姿に変形した、魔戦士ヨーゼフの誕生であった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す