PiPi's World 投稿小説

クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 2
 4
の最後へ

クロノセブンス 4

喜びを堪え、路地に入ると盗んだ財布の中身を確認する。
財布のなかは思った通り札束で凄い厚みになっていた。
予想するに、反抗期のお坊っちゃんはおやを頼らずに一人でお買いものにでも来たのだろう。
財布をポケットに入れると町の出口の方に向かう。


町を守護していた巨大な門を見上げる。
十年前の大戦時に造られたこの町は、半ば要塞だった。
そして、それを象徴する開かれた巨大な門をくぐり、傾きかけた夕日を背に野宿の場所を探していた時だ。
「お坊っちゃんの財布を盗んだのは貴様か」
草むらから2メートルくらいの男が姿を現し、それをかわきりに十人弱の男女が姿を現す。
「ほぉ、あの坊ッちゃんのボディガードか。俺を見つけるまでに時間がかかったな。にしてもガキの尻拭いにこんな沢山・・・・・・」
リッディは腰に指していた曲刀に手をかける。

「返すのならば命まではとらんぞ。」
リッディは仕方ないっという顔をしながら財布をしまったポケットに手を入れる。
「んなわけ、ねぇだろ!!」
靴を地面に潜らし砂を蹴りあげる。黄色がかった砂と石が男の顔に直撃する。
「くそっ、このガキっぶっ殺せ」
待ってましたとばかりに周りの男女がリッディに飛びかかる。
ぼろぼろの服を何枚も重ねてきている男の剣を体を反らして避けるとその男に足をかけ派手に転ばせる。
先程手をかけた曲刀を抜くと後ろから繰り出された槍の突きをかわし、柄の部分を斬り折る。
リッディの戦い方はとても子供の戦い方には見えなかった。それは熟練した剣士の一撃に匹敵し、軽やかに攻撃をかわすさまはさながら蝶であった。
「ばっ化け物か?」
リーダー格の男には目に映る光景を消したかった。
自分よりニ、三十センチは身長が低い子供がいとも簡単に屈強な男を叩き伏せていく。
リッディは自分に向かってきた最後の一人を切り捨てると、口許に凶悪な笑みを浮かべるとリーダー格の男に歩み寄っていく。
「おいお前、面倒だから俺につきまとうなよ」

男には差し向けられた刀の先が凶悪なドラゴンの口に見えていた。
悲鳴をあげ走り去っていく男の背中を満足そうに見つめていたリッディは自分の神がかり的な剣術、体術の痕である周囲をざっと見渡すと、何か思い出したように気絶、または死んで横たわっている者たちに近付き体を調べ始める。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す