PiPi's World 投稿小説

クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 38
 40
の最後へ

クロノセブンス 40

糸の切れた人形のように意識を失い、倒れようとするコーネリアをライオネルは受け止め床に横たわらせると、すまなそうに自分の着ていたマントをかけるライオネル。
「済まないな」
短くそう告げると自分の用意した退路に向けて走り出す。
迷路のような通路を走り抜け、派手なステンドガラスを突き破り着地したときライオネルは思わず絶句した。
人の壁が目の前に広がっていた。
「ほう、誰かと思えば貴様か。ポーラーには抜かり無くと伝えたはずだがな」
白馬に乗り、荘厳な鎧を着たシルフェインが目を細めながら言った。
うつむくライオネル。シルフェインは死を覚悟したかと合点したが・・・・・・
「ガッハッハッハ、青二才が何を言うかと思ったら。ヨーゼフがいなければ自らを御すこともできない者が何を言う」
ライオネルの言葉にカッとなるシルフェインはすぐさま剣を抜こうとするが、ヨーゼフがそれを遮られる。
「王はお下がりください。この程度の小者、例え私一人でも勝って見せましょう」
ヨーゼフの言葉に王としての威厳と冷静さを取り戻すシルフェイン。
「わかった、ヨーゼフに任せよう。奴の首、必ず取るのだぞ」

背を向け、馬を走らせるシルフェイン。
それを見てライオネルはシルフェインに向け右手で銃を構える。
「いいのか、今俺が撃ったら確実にあいつの頭が吹き飛ぶぜ」
ヨーゼフはそれを鼻で笑う。
「やってみろ。そしたら義賊ライオネルから卑怯者ライオネルに転職だ」
小さく舌打ちすると、銃を下げるライオネル。
「昔のよしみだ。盗んだ物を返し、王に忠誠を誓うなら今までのことは水に流そう」
沈黙がながれる。
「忠誠?昨日ゴミ箱に捨ててきたよ」
ヨーゼフはフフッと遠い日を思いだし笑う。
「変わらないな、貴様は」
ヨーゼフはゆっくりと手をライオネルへ向ける。
突撃という意味の指図だ。
兵士達は前列から閧の声をあげ、ライオネルへと迫る。
ライオネルは逃げ出すでもなく、また銃を右手で構える。兵士達の中心に向かって。
「悪いな。お前らの命、今日でTheEnd(ジエンド)だ」
銃口へ向けて青白い光が集まる。
そしてライオネルは引金を引く・・・・・・。

―――
「っで、そのライオネルって言うのはどこにいるんだ?」
リッディとイーグリットは今、ライオネルを追い荒野を歩いていた。
「僕に聞くなよ」
「ふーん、使えない奴」
「なんだと!!」
イーグリットは馬鹿にされて顔を赤くし、殴りかかろうと胸ぐらを掴む。
「やれるもんなら、やってみろよ」
リッディは対照的に胸ぐらを掴まれ、少し後押しすれば渾身の力を込めて放たれそうな右手が用意されているのに余裕しゃくしゃくと笑っていた。
もちろん、それには理由がある。それはリッディがほぼ自由に幻獣の力を引き出せる点にある。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す