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クロノセブンス
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クロノセブンス 39

「ヨーゼフ・・・・・・わかった。今回はお前に免じて赦そう。コーネリア、お前はもう下がれ」
コーネリアと呼ばれた茶髪の少女は肩を浅く斬られていた。そのせいで、長髪が血に濡れている。
「思い直して、シルフ。あなたがしようとしていることは・・・・・・」
「黙れ!その名で私を呼ぶな」
シュンと肩を落としたコーネリアは小さくうなずくと、王の間を出ていった。
「王よ・・・・・・」
ヨーゼフが言葉をかけようとした瞬間だった。突如、扉が開かれ兵士が入ってくる。
「王へ報告。先程、賊が宝物庫へ侵入しました」
「何!?侵入者か」
シルフェインより先にガバっと振り返ったヨーゼフが答える。
「はい、今警護の者達が追っています」
兵の眼差しがシルフェインへと向けられる。命令を待っているのだ。
シルフェインはフッと息をつき、長く瞑っていた目を開ける。
「侵入者を確実に捕えろ。追っ手を増やせ。逆賊には死を」
「御意に」
兵士は命令を聞くとすぐに退出する。
「王よ、コーネリア様の事、お気になさらないでください。まだ先代の事が忘れられないのです」
シルフェインはまた目を閉じる。そして、閉じたまま答える。
「わかっている。大いなる繁栄のために小石につまずく気は無い。」
そして目を開けると、スッと立ち上がる。
「私も行こう。ここに侵入できたのだ、有能ならば取り立てよう。保管してあった第一の石も、取らせに行った第二の石も失った。第三の知恵の石はどうしても得たい」
扉に向かい、歩むシルフェインにヨーゼフは付き従う。複雑な面持ちで。

―――
「ばれたか?いや、まだだ、まだ終らんよ」
ライオネルは壁の陰に隠れ、追っ手が通りすぎるのを待ちながら誰に言うとでもなく呟く。
周囲に人がいなくなったのを確認して陰から飛び出した。はずだった。
「キャ!」
なんとしたことか少女とぶつかってしまったのだ。
叫ばれそうになったので、思わず口を押さえてしまう。
ぶつかった相手を見てライオネルは後悔した。茶髪の長い髪、大きな、それでいて意志のこもった瞳。昔に一度見たことある。その頃からもう七年経つが綺麗に、まっすぐ成長したとライオネルは思った。
ライオネルに口を塞がれ、拘束から脱しようと手足をばたつかせる少女はコーネリアだった。
一方、コーネリアもライオネルの顔などは逆光でわからないが、唇に指を当て「静かにしてくれ」とジェスチャーで語るシルエットに、ある記憶をフラッシュバックさせていた。
子供の頃、散歩をしていた時、その当時はまだ先代の王が教会を守っていたのだが、その先代の王をよく思わないグループから誘拐されかけた事があった。
その時、颯爽と現れ徒手空拳で誘拐犯を撃退した恩人と今回、急に陰から出てきてぶつかった人物の挙動がよく似ていたのだ。
コーネリアが顔を見ようと身をよじらせた時、首筋をトンとライオネルに叩かれた。

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