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クロノセブンス
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クロノセブンス 35

「弱い…、俺達に喧嘩売るなら強くなりな」
意識が遠のく中、ポーラーは鉄でできた黒い物体でイーグリットの頭を軽く数回叩いた。何かが焼けた嫌な臭いが辺りに漂う。
「行くぞ、お前ら!!」
ポーラーはイーグリットを跨ぐと離れて行く、その姿は小さくなってやがて消えた。そしてイーグリットの意識も無くなった。




どれくらい眠っていたのだろう、イーグリットの目が覚めるとスプーレは早朝の深い霧に包まれていた。その深い霧の中、袴の男が一人立っている。
「さぞ悔しいだろう…、しかし今のままでは君はポーラーに勝てない」
彼は倒れたままのイーグリットの顔をのぞきこんだ。
「お前は…、何だ、笑いに来たのか?」
「君は石を持ってる…、強くなる方法、知りたいとは思いませんか?」
イーグリットは溜め息をつくと目を瞑って頷いた。
「何でも知ってるんだな…、教えてくれよ、強くなる方法」
イーグリットの返事を聞くと、袴の男は彼の手をとり立ち上がる手助けをした。
「私はロイ・フォーハルス、君の名前は知っているから言わなくていい、さぁ私についてきてごらん」
ロイと名乗ったその男は、振り向く事なく歩いて行く。イーグリットはそれについていった。
ロイの進んで行く道、それは見覚えのある懐かしい道だった。それはスノットと遺跡に行く道、いつも歩いてた道だった。
「遺跡に…、行くのか?」
「懐かしいだろ?でも君は遺跡の真の姿を知らない」
「真の姿ねえ…」
イーグリットは目を細めてみせたが、ロイはそれにふれる事なくどんどん突き進む。
「なぁ本当にあの遺跡に…」
「そうだ、先客がいるから君は“第2のお客様”となるが、ついて来れば力はやろう」
「…何だよ“第2”って」
「君にとって村の人々は人生の全てだったのかもしれない、でも君の持っている石は復讐の為に使う物じゃないんだ、7人のお客様の持つ“7つの石”、それは世界を救う為に存在する…」
ロイの答えにイーグリットは首を傾げる。懐かしい景色を見ながら彼は思った、「世界の事なんてどうでもいい」と。

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