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クロノセブンス
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クロノセブンス 33

イーグリットが目覚めるとそこは森の中だった。横には保存食と金、手紙の入った袋が置いてあった。
イーグリットは手紙を開いてみる。

『君の友人の事は悪かったと思っている。それの償いになるかは分からないが、君の追っている盗賊の手配書を一緒にいれておく。君の手配書も既に抹消しておいた、だから賞金首には狙われないだろう…。
これは頼みなのだが、教会にはもう触れないで欲しい、内乱が起きていて異常な程警戒している。君と戦わない事を祈っている。
親愛なる友人へ  仮面の男より』
“友人”という字にイーグリットの顔が一瞬引きつったが、仇の手配書が瞬時にそれを忘れさせた。
「これが、仇だと…」
イーグリットの手にした手配書には、女にも見える青年の顔が描かれていた。その横にはこの絵の人物が盗賊団の長と書かれている。
イーグリットはその手配書を袋につめると、自分がどこにいるかも分からないまま、袋をぶらさげ歩き始めた。
「教会が駄目となると、あそこしかないな…」

イーグリットは森を抜けると歩き回り、ようやくそこに辿り着いた。
その町の名は“ディカイオシュネ”。有名な義賊団が集まり、とても治安がいいと聞いていた…
「ようこそ“盗っ人町”へ、取り敢えず黙ってその袋を俺達に渡しな」
町に入ってすぐだった、背の低い男がイーグリットを見上げてそう言った。
「これが義賊団のする事か…?」
イーグリットは不機嫌そうに呟いた。背の低い男はその表情を見ると、腹を抱えて笑だす。
「ぷっ…ぶはははは、義賊だと?お前いつの話してんだ、ぶはははは」
「………」
「何だ?義賊に会いたいなら会わせてやるぜ?あの世でな!!」
背の低い男はナイフを抜くと、2人の手下と共にイーグリットへ襲いかかる。連続した素早い突きが、イーグリットに反撃させる隙をつくらせなかった。
「チョロチョロ動きやがって!!潔くし─」
背の低い男が再度ナイフをイーグリットに向けた時だ、イーグリットの長剣が丁度3人の首をとらえるように抜き放たれた。
「おめぇら…、動くなよ」
イーグリットに襲いかかった男達は長剣の前に一列になって並んでいた。本人達は動きが読めないような攻撃を行っていたつもりだったが、イーグリットの抜いた長剣は彼等の奇妙な動きを綺麗に整列させ、無様な姿にさせた。
「この男を知ってるか?」
イーグリットは長剣を片手に仇の手配書をなびかせてみせた。
「知らねぇ訳ねぇだろ…」
「知ってるのか!?」

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