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クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

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クロノセブンス 32

「なんて事を…」
「それが“ライオンハート”か…」
仮面の男が床を見つめていると、王の感嘆の声が聞えた。仮面の男がふと見上げるとイーグリット胸に蒼い宝石が埋まっているのが分かった。
「ライオンハートは人に埋まりし石と聞いていたが、まさか本当に埋まっているとはな…、そなたが敵国にわたれば脅威となる」
王が手を上げるとイーグリットの立っていた床が突然抜け落ち、彼は穴へと吸い込まれていった。
その穴の先は水だった。広く深い水槽で、鉄格子に囲まれていた。イーグリットが辺りを見渡すと一ヵ所だけ水から上がれる岩場があり、彼はそこに座る事にした。
日の当たる事ない地下牢、鉄格子も水の中で切断するのは難しかった。なにもないまま時は過ぎていく、変わるのはイーグリットの意識が次第に薄れていく事ぐらいだった。
「イーグリットぉ…」
死んだはずのスノットが自分を呼んだ気がした。
「イーグリット、いつまで寝てる気だ、行くぞ」
今度はハッキリと声が聞えた、闇の中に怪しい仮面が見える。
「スノットは?」
「何言ってんだ、衰弱し過ぎて幻でも見たか?早くしろ、水槽の化け物に勘づかれちまう─」
仮面の男がそう言うと、ゴーという重低音と共にその化け物は姿を現わした。それは水の中に住む龍という感じだった。
「チッ“水龍(リヴァイアサン)”のお目覚めだ、胸ん中に“デジュ・イネーブ”飼ってんだろ?そいつで焼き払ってやれ」
「そんな事言われたって…、どうやって力を解放するか分かんないよ!!」
仮面の男はしばらく沈黙した、男はどうやらイーグリットが力を使いこなせると思いこんでいたようだ。
「まいったなぁ…、まぁ“竜殺しの勇者”さんが一緒なら、なんとかなるか!!」
仮面の男は剣を抜くと岩場を蹴って水龍に飛び掛かった。イーグリットも背中の長剣を抜くとそれに続いた。
仮面の男は水龍の作った水の壁に飲み込まれ、水の中に落ちていった。イーグリットは水の壁にたえたが、その後水龍が頭から突っ込んで来て彼も水の中へ沈んでいく。
水中で嵐が起きていた。複雑な渦潮がいくつも起きて、イーグリットたちはそれにただ流されるしかなかった。
2人は流れをつかみ、なんとか合流すると水龍を探した。仮面の男が右を見て左を見ると、再びイーグリットの姿がなくなっている。イーグリットのいた場所にはリヴァイアサンの長い体が下に向かってはしっていた。
しかしその長い体からは剣先と思われる物体が、仮面の男の目の前でずっと飛び出していた。
水龍の体が真っ二つに切り裂かれていく。水龍の尾先が来ると、そこから長剣を握ったイーグリットが現われたが、彼は仮面の男を見ると剣を握ったまま眠ってしまった。


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