PiPi's World 投稿小説

クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 29
 31
の最後へ

クロノセブンス 31

「胸に傷を負ったのか?」
「傷じゃないけど、厄介な事にはなってるよ…」
「治療は教会でしてやる、こっちから出られたという事は、宝石を─」
「大事にしているよ、僕の“命”だからね」
「すまない、君達のような子供にまで頼る事になるとは…、教会も変わってしまったものだ」
仮面の男はイーグリットを馬車に乗せると、教会へ馬を走らせた。
無言のイーグリット、仮面の男は横目でそれを見ると静かに話しだす。
「恨まれていそうだから言わせてもらうが…、俺は最初から二つの選択肢を用意していた、幻獣を倒し宝石を手に入れる事と、奥の部屋から脱出する事─」
「そんなの分かってるよ!!スノットが死んだのは僕の所為なんだ、僕が無茶をしなきゃスノットは死なずにすんだんだ!!」
大声で喚くイーグリットに、仮面の男は前を向いたまま冷静に答える。
「…いいか、守りたいものがあるなら強くなれ、それが唯一の方法だ」
“守りたいもの”イーグリット自身、今の自分にそんなものがない事は分かっていた。それでも彼はハッキリと言う。
「僕は強くなる」
仮面の男はその返事を聞くと軽く頷いた。
馬車は森を抜け、あっと言う間に教会が姿を見せ始めた、行きよりも早く帰ってきた感じがする。
「教会からすれば部外者に偉業を成し遂げられた訳だ、王がもしお前を殺そうとしたら…、そん時は俺が守ってやるよ」
イーグリットは妙なプレッシャーをかけられたまま教会の中へ入って行く。中の兵士たちが皆敵に見えた。
「そんな心配すんなって、俺が命の保障はしてやる」
仮面の男の軽い口調はどこか信頼感に欠けていたが、イーグリットにとって彼は唯一の味方に思えた。
「只今戻りました!!」
王の間に入ると仮面の男は大声でそう叫んだ。幼き王は頬杖をついたまま少し残念そうに呟く。
「帰ってきたか…」
仮面の男を先頭にしてイーグリットは王の元へと歩いて行く、王の隣りには前と同じく厳つい男が立っていた。
「イーグリット・ロード…、まさか本当に宝石を持ち帰るとはな…、率直にいう、我が王の下でその力を存分にふるえ」
厳つい男はイーグリットを指差しそう叫んだが、指を差された本人は首を横に振った。
「まぁよい、証拠の宝石、見せてみよ」
王は今にも剣を抜きそうな厳つい男を軽く叩くと、イーグリットにそう命じた。
イーグリットは服を脱ぎ始める、仮面の男は急いでそれを止めようとしたが、その時には既に服を脱ぎ終えてしまっていた。仮面の男は頭を抱える。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す