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クロノセブンス
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クロノセブンス 3

(おかしいな、こんな派手にやったんだから死体が転がっていてもいいんだけどな。)
だが、町には火がくすぶり続ける木材や瓦礫の山だけで腐臭さえしなかった。
(何かあるな。)
 警戒しながら進むと傍らに少女が蹲っていた。人に化けるミミックマンかと疑いながら近付くと気付いたのか体をビクリと震わせゆっくりとこちらに振り向く。

「世界を救いに行くのさ」

軽口が特徴だったその男の背中には悲しみに染まった翼が映えていた。

「この命を賭けてね」


――聖教会リバーム
「神父さんよぉ、金はまだかい?」
青年は机から降りると奥で何やらごそごそやっている神父に荒々しく問掛ける。
「き・・・貴様には天罰がくだるぞ」
頭の禿げた神父は金を袋に入れながら青年を非難する。
青年は知ったこっちゃないっという顔をしながら、辺りを見回す。
「速くしてくれないかなぁ、やつらがきちゃうじゃん」


その青年の言葉に神父が反応すると、不敵な笑みを浮かべた。
「このまま、奴等が来るのを待ってもいいのだぞ?」
青年は顔を少し顰めて
「ば、馬鹿言うなよ!」
と叫ぶと、神父から金を入った袋を乱暴に受け取った。
外に続く扉へと歩いて行く青年であったが、ふとその場に立ち止まると、神父に振り返り
「・・・さっきの冗談だよな?」
と聞いたが、神父の顔は一様に険しいままで、眉間にしわを寄せていた。
本気だったのか・・・青年は背筋に神父の視線を受けながらも足早にその場を離れた。
「ちっ、胸くそわりぃ」
金の入った袋を腰からぶら下げ青年――リッディ・グランスウォールは町へと急いだ。
別に町に用事があるわけじゃない。ただ、ここから速く離れたかった。奴らの来る前に。
「リッディか。迎えに来たぞ」
後ろから呼び停められたリッディは小さく舌打ちした後、笑顔で振り返り
「どなた様ですか。あなたのような糞野郎を僕は知りません。じゃあ。」
と言って立ち去ろうとする。
「ひどいね。父の友人の顔を忘れるなんて」

「うるせーな。っていうかあんたらしつこいんだよ。三つも町を追ってくんなよ」
こんな騒動が起こった発端は三ヶ月前にある。
十一歳の時、家を飛びたしてきたリッディは、無一文のため町行く人々の金を盗んだりしながら生計をたてていた。
いつも同じように町に行って獲物を見つけていたリッディは最高の獲物に出会う。
風貌はそのまんまお坊っちゃん、とろそうな顔をしていたので近寄り財布の場所を見つけて気付かれないように素早く取る。感触は最高、スラれた本人はまったく気付いてないようだった。

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