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クロノセブンス
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クロノセブンス 29

ガンガン進んでいくイーグリットにスノットは追いつけない。
ちょうど、中心にまでさしかかった時だった。
扉の前に円形の魔方陣が現れ、魔法陣の中から物体が這い出てくる。
「あれが、幻獣?」
中から出てきたものは鱗と蒼い炎に体を包み、背中から炎の翼を生やした――
「“龍”?」
その形はイーグリットの父が倒した龍にとても似ていた。
「イーグリットぉ」
心配そうなスノットの声がイーグリットの耳をうつ。
「大丈夫だよ、俺だって、俺だって“勇者の”息子だ!!」
イーグリットの決意に感応するように雄たけびを上げた幻獣。
イーグリットは素早く距離を縮めにかかる。
遠距離戦は絶対に不利である。それはイーグリットが遠距離を攻撃する得物を持っていない事、そしてイーグリットは龍特有の攻撃方法があることを知っていた。
「来た!!」
「イーグリット!!」
スノットが悲鳴を上げる。
幻獣はその長い首をもたげ、口から熱線を放つ。
寸でのところでそれをかわすイーグリット、元居た場所が熱に中てられ溶けていた。

「聞いてないよ!!」
イーグリットは父から遠距離で龍が炎や火球を放って攻撃してくるとは聞いていた。
だが、熱線を放つとは初耳である。
さらに、幻獣はイーグリットを近づけまいと熱線を連射する。

イーグリットは長剣バルムンクを抜き放つと手ごろな場所の結晶を破砕しそれを幻獣にぶつける。
だがそれは幻獣に当たる前に蒼炎に焼き尽くされる。
何事も無かったかのように幻獣は熱線の溜めを開始する。
イーグリットはそれを見て駆けるが間に合わない。
幻獣が熱線を放つ。だが、それはイーグリットとはまったく違う方向に発射される。
その方向は――
「スノット!!」

イーグリットが振り向いた時には、幻獣の熱線が細く消えていく所だった。
熱線の先にはプラズマがおきていて、そこにあるはずのスノットの姿は跡形もなく消えていた。
「う、嘘だろ…」
愕然となるイーグリット。しかしその間も幻獣は口に光を集め始め、その空間を明かるく照しだす。
蒼い炎のに包まれし竜は、その狙いを容赦なくイーグリットへ定めた。フィールドを照していた光は一瞬で小さく圧縮されると、爆発するかのように熱線として放たれる。

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