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クロノセブンス
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クロノセブンス 28

「一つだけ前言った事の訂正を…、誰一人帰って来なかったというのは嘘です、先代の王が自ら遺跡に入った時、一人だけノコノコと生きて帰って来ました、その男は国中の笑い者になり、死ぬ勇気もないので今じゃ一人でこっそり生活してるとさ」
興奮ぎみのイーグリットに仮面の男は昔話で答える。スノットは真顔でその昔話に耳を傾けていた。
「さてと、君達はまだ若い、俺の忠告をよく聞け、幻獣に会ったら宝石を無視して奥の扉へ走れ、俺から言えるのはそれだけだ…」
仮面の男はそう言うと、イーグリット達の背中を押して最後に一言。

「生きてまた会おう」

イーグリット達は遺跡の中へと入って行く。その中は不思議な空間だった。壁に掘られた古代文字が青く光り、道を照らしだしている。
「奥の扉、奥の扉…」
「スノット、まさか幻獣から逃げる気か?」
「そ、そういう訳じゃないよ…、イーグリットが強いのは知ってる、でも今度の相手は幻獣なんだよ?」
「じゃあ仮面の男みたいに一生ひっそりと生きるのか?そんな事してたら村の皆の敵を討てないよ」
「でも─」
「スノット!!君は後ろで戦いを見てろ、僕だって“龍殺し”の息子だ、やってやるさ」
イーグリット達は行き止まりにあたったが、目の前の壁に切れ目が現われると、それはゆっくり左右に開いていった。イーグリットはバルムンクを背中から抜いた。
扉の向こうから霧が溢れてきた。壁の青い光に照され世界が真っ青になる。その霧に共鳴するかのように古い指輪も光りだしていた。
「イーグリット…」
「心配するな、スノットはここにいるんだ」
「うん…」
スノットの返事を聞くとイーグリットは頷き、一人で霧の奥へと進んで行く。
見えるのは青い霧だけ、スノットはイーグリットに貰ったナイフを構えてじっとしていた。
扉が完全に開く。
霧に包まれた空間に足を踏み入れた瞬間、古びた指輪は異常なまでの光を発する。
「・・・・・・!?」
光がおさまったとき、霧は完全に晴れていた。
辺りは巨大な空間、地面や壁に生えた結晶が光を発し視界は良好だった。
「幻獣なんて居やしないじゃないか」
「でも、気をつけたほうがいいよ」
遠くに扉が見て取れた。
「あの中に宝石があるのか」
「イーグリットぉ、待ってよ」

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