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クロノセブンス
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クロノセブンス 25

「でもそれはイーグリットのお母さんの…」
「大丈夫だって、殺されても人を呪ったりする人じゃないから」
「いや、そういう意味で言った訳じゃないんだよ、僕らは帰る所が無くなっちゃったから…」
「ん?」
「親の形見ぐらいは自分で持ってないと淋しいんじゃないかと思って」
「スノット」
イーグリットは背中のバルムンクを抜くと、太陽の光にそれを当てた。
「この剣は呪われた剣だ、スプーレの村人の呪いがかかってる気がする…、この呪いを解くには仇討ちしかない!!母さんの死を悲しむのはそれからにしないと」
「うん…」
スノットは前向きなイーグリットの気持ちを、頼もしく思う反面、どこか冷たい気がしていた。
「スノット、まずは教会に行こう、あそこは情報の宝庫だからね」
「近くの教会と言えば…、ここから東にある“ビグ”の教会だね」
スプーレから東に向かうと農業大国のビグがある。広大な土地に果樹園や畑が並び世界の食料需要を満たす為の重要な場所として位置付けられている。
そこへ二人は訪れる。
「イーグリットぉ、本当に父ちゃんの後を追いかけなくて良かったの?」
「場所も言わずに行っちゃったからね…、それを調べる為にも教会には行かなくちゃね?」
スノットは素直に頷く。イーグリットの笑顔はスノットの落ち込んだ気持ちを高めてくれた。イーグリットはどんどんビグの街を進んで行く、スノットはしっかりそれについていった。
「教会、教会…」
イーグリットがいくら探しても教会らしき建物は見あたらない。二人はスプーレと近くの遺跡の往復をした事しかなかった、勿論教会は話に聞くだけで見た事がない。
「ねぇイーグリット、これが教会みたいだよ…」
スノットがイーグリットの服を引っ張ると、イーグリットは立ち止まってスノットの指差す建物を見た。
「話が全然違うじゃないか…」
イーグリットが目にしたのは教会という名の“要塞”で、見張りの男達が一定の間隔をあけて立っている。頑丈そうな門の前には鎧を着た兵士が斧を交差させ入る者を阻んでいた。
「教会ってのはこう…、小さくて、無防備な感じじゃないのか?スノット」
「僕もそう思ってたんだけど、そこの石に“Eglise”って彫ってあるから間違いないと思うよ」
スノットの足元には横長の黒石が置かれいて、そこには教会をさす字が彫ってあった。二人は聞いていた話とのギャップから、目の前の“要塞”が教会というのを少し疑っていた。
「まぁ中に入ってみよう」
イーグリットがそう言うと、スノットは黙って頷き彼のあとについていく。
門までは止められなかったが、門番の二人の鎧兵は互いの槍を交差させて動こうとしなかった。

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