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クロノセブンス
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クロノセブンス 24

「でも・・・・・・みんな死ぬ事はないだろぉ」
精一杯支えてきた体が崩れ落ちる。
「・・・・・・僕らは子供なんだからさ、大人になって考えればいいんだよ。大人になって、皆の思いとお別れしないと」
スノットは鼻水と涙で顔をくしゃくしゃにさせていた。
「僕・・・・・・強くなるよ。なりたいよ。スノット、手伝ってくれるか?」
スノットはイーグリットの体を持ち上げる。
「当たり前だよ。」

そしてスノットは村の中央の方へ目を向ける。
「みんな・・・・・・このままじゃ寒いんじゃないかな?お墓を作ってあげないと」
「あぁ・・・・・・!」
スノットの後について村人の亡骸を集め始めるイーグリット。
亡骸を集める途中、イーグリットはずっと「ごめん」と呟いていた。
かつて空き地だった場所には墓が並んだ。一つ一つの墓に埋められた人物の名前が書いてある。その名前を見るとイーグリットの思い出が甦ってきたが、何故か皆の顔を思い出せないでいた…

「スノット…、皆苦しんで、悔しくて、そうやって死んだんだよな」
「…うん」
「絶対許さない!!…村をこんなふうにした奴等を絶対許さない!!」
イーグリットが強く拳を握る、隣りからはスノットの鼻水を啜る音がいつも以上に激しく聞こえていた。
イーグリットたちは別れを惜しむように村の出口へ歩いて行く。その途中、イーグリットは急に立ち止まると再び村の中に走り出した。

「イーグリット、どこ行くの!?」
「守らなきゃ、父さんの大事な物を!!」
イーグリットは自分の家があった場所まで来ると、木刀で地面を掘りだす。しばらく掘っていると木刀が何かに当たった。
「あった、“バルムンク”だ…」
イーグリットが地面から一本の剣を掘り当てた時、丁度スノットが息を切らしながらそこに辿り着いた。
「はぁはぁ…、バルムンクぅ?」
「父さんが竜退治をした時の剣だよ、父さんから昔埋めたっていうの聞いたんだ、父さんの大事な物だし…、それに盗賊相手に木刀じゃ難しいだろ?」
イーグリットは木刀の代わりにバルムンクを背負うと、スノットに母親の形見のナイフを手渡した。
「スノット…、お前の死ぬ所は見たくない、だからこれを持っていて欲しいんだ」

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