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クロノセブンス
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クロノセブンス 21

イーグリットは龍を倒し世界を救った英雄の息子。
誰も彼を単体として、一人の子供としてみない。
父の影を振り払う為、父を超える為、独学で剣の修行を始め森の奥の魔物を一人で倒し、意気揚々と帰った彼を待っていたのは自分を通して父をほめる村の声だった。
だが、そんな彼にもその時は近づいていた。
両親は遠くで盗賊に襲われた村を救いに出かけた。
不謹慎ながらもめったに訪れる事の無いチャンスにイーグリットは歓喜した。
父の居ない今、凄い事をしたら誰もが自分を褒めてくれる。
そして、彼は森に入った。
共に森に入るのは“鼻水少年”のスノット、今まで役に立った記憶はない、それでも“いざ”という時には淋しさを紛らわせてくれるだろう、と思う。

「イーグリットぉ、“留守中は頼む”って父ちゃんに言われたんじゃないのかぁ?」
「いいかい?父さんがいない間に手柄をあげてみろ、父さんだけじゃない、皆が僕を認めてくれるんだ」
「でも…」
「何だ!!ついてきたくないなら村に帰ってもいいんだぞ」
スノットは俯いた。
気を落とさせてしまったかもしれない。でも僕も必死なんだ、分かってくれ…

イーグリット達は森の奥へ奥へと進んで行く、盗賊やモンスター、妖精…、どれも出てくる気配がない。彼らはとりあえずいつもの遺跡で休憩をとる事にした。

「今日もシルフ見つからないかもな…」
「ここいらには宝がないから、シルフも近寄らないんだよ」

イーグリットがぼやき、スノットがそれを励ました。イーグリットの手には分厚く束ねられた紙がある、中身は指名手配書。イーグリットがパラパラとそれを捲る、その中にリッディのもあったが、今の彼が気にする事はなかった…

「イーグリットぉ、そろそろ戻ろうよ」
「…、もう少し探してみよう、この遺跡に眠る宝を狙って来るかもしれない」

イーグリットがそう言い終わったと同時に、草むらが揺れ動いた。のんびりしていた2人に緊張がはしる。

「ここに宝なんてないんだがなぁ…」

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