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クロノセブンス
その他リレー小説 - ファンタジー

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クロノセブンス 20

入ってきたのはなんてことは無い。
ただの青年?いや、女かもしれない。
なんせこの部屋は真ん中の卓以外は明かり一つ無い暗闇なのだ。顔が影に入ってしまっていて見えない。
だが、シルエットで行動はわかる。
この部屋を俺と同じようにきょろきょろと見回し、ロイを見とめると決意と不安の入り混じった顔になった。
たぶん。
「力をくれるってのは・・・・・・本当なんだろうな?」
まだ幼さが残る声ではやはり、男女は区別できない。

一歩踏み出して上手く闇に隠れていた顔が明るみに出される。
どうやら男のようだ。
全体的に薄着で、右肩には皮の肩当。背中には長剣が差してある。
髪の毛は肩につくかつかないかぐらいの長さで、面立ちは声と同じようにどこか垢抜けない中性的な面立ちだった。
なぜか、その全体のバランスが人を小ばかにしているようでリッディは憤然としたが、自分の姿もそのようなものだと気付き何も言わなかった。

「リッディ、彼の名はイーグリット・ロード、“二人目”のお客様だ」
ロイがイーグリットを指差すと、彼は明かるく照らされた。
「君が“一人目”のお客様か…、僕の名はイーグリット、僕が──」



そう、それは“第2のお客様”の物語…

「僕が勇者だ!!」
小さな村の小さな広場で少年は雄叫びをあげた。
「おっ、勇者さん今日も冒険ですかい?」
「イーグリットぉ、オイラもついていっていい?」
農夫は笑顔でリアカーを引いていると立ち止まり、鼻水を垂らし汚れた子供は地べたに座りながらそう言った。
ここは時がゆっくり流れ、刺激的な事があまりない村
“スプーレ”
「なぁイーグリット聞いてる?」
切り株の上で木刀を空に向けていたイーグリット、彼の手はプルプルと震えている。
「機会だ、機会さえあれば俺だって…」

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