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クロノセブンス
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クロノセブンス 19

階段を数百段下りた後は死と隣り合わせの世界だった。
壁から槍、棘の生えた大玉、巨大なギロチン、動く石像、溶岩の川...etc
ここまで厳重だとリッディにはロイを見つける以外にこの遺跡に目的が出来てしまった。
「・・・・・・ここにはお宝があるな」
勝手な推測の話だが、トラップを全てロイが設置したとは思えない。つまり、ここにはそこまでして守るものがある。
「だけど、宝石はちょっとな」
聖堂での一件で宝石恐怖症にかかりそうなリッディであった。

「さて、ここで最後か・・・・・・!」
リッディの目の前には半透明の鉱物でできた扉のような門のような。とにかく、室内の空間と空間を隔てているものがそびえている。
そう、そびえていた。
最上部が見えない。
教会のような柔らかいオーラに包まれた部屋の一番奥に最上部が見えない程縦に長い扉、または門がある。
この部屋について、この地下の施設について、いろいろ気になることはあるが、リッディが今一番気になっていたのは袴姿に飄々とした男。ロイについてだった。
扉を乱暴に蹴り開ける・・・・・・はずだったが、最上部が見えない程の高さを誇る扉はリッディの渾身の蹴りさえも効かず、かっこ悪いポーズのまま固まったリッディをよそに長い時間をかけて開いた。
部屋の中には星型の卓、星の外側の頂点にはそれぞれ違う装飾が施された椅子。内側には5つの床に固定された棒。
そして、一番奥の席には表面上はにこやかだが計り知れない闇を含んだ笑みを浮かべる男――ロイだ。
一通り部屋の中を見渡すリッディ。
星の卓だけが明るい部屋の中。それ以外は深い闇に包まれている。
「ようこそリッディ、君の席はそこに用意しておいたよ」
そう言ってロイが指をならすと、リッディの目の前に椅子が現われた。上からのライトに椅子は照らされ、リッディを案内しているようだった。
「分かってるだろうが、約束通り石をはずしてもらうぜ」
リッディは椅子に足をのせるといっこうに座ろうとしない。ロイは胸元から懐中時計を取り出すと、何もない場所を指差して笑った。
「もうすぐ来ます、“二番目のお客様”が…」
リッディはロイをさげすんだ目で見ていたが、突然視界が光に包まれた。
「罠か!?」
リッディは曲刀を抜き、それを素早く構える。しかし光の先にあったのはリッディが入ってきたのと同じ、とてつもなく大きな扉、それだけだった。
ギィ…と音をたて、それはゆっくりと開いていった。

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