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クロノセブンス
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クロノセブンス 17

袴姿が戦うところは初めて見るな。っと、先程の激痛や能力開放で疲れたリッディは観戦をすることにした。
袴姿はとても低い姿勢で両手に短刀を持ったバドラとの距離を詰めると、射程圏内まで入ったところで腰の太刀を、抜かない?
だが太刀を抜く時の高い音は鳴ったしバドラは回避行動にはいった。
見えなかった。何度も死線を越えかけてきたリッディの目を以てしても袴姿の居合いは余りにも速過ぎたのだ。
居合いの切り上げ、返しで肩口に太刀を振り下げ、手元で放つ射程距離の大きい突き。
洗練されたコンビネーションがバドラを襲う。
だが、それも1体1にだけ優れているようで隙を縫って介入したアグニの鉤爪が袴姿の手を止める。
どうやら、劣勢のようだ。
ここでリッディは気がついた。2対1は卑怯だな。っと。
重い腰を上げ、目下戦闘中の3人に近寄る。
手馴れた手つきで相棒の曲刀を抜き放つ。太陽の光を浴び、鈍く輝く曲刀。
そして、アグニの渾身の一閃が袴姿の喉を捉える。
鉤爪が薄い皮膚を捕らえた。がそれは薄い皮膚をなぞり、浅く裂くだけであった。
アグニの脇腹に垂直に入ったリッディの右足。
強大な衝撃がアグニの体を中に舞わせ、鉤爪で使えない両手の代わりに肩で受身を取った瞬間鈍い音が鳴る。
「ただ見てればよかったのを、クソ!!いらつく餓鬼だ」
「餓鬼に闘争心むき出しって大人気ないな」
アグニを鼻で笑うリッディ。
「助けるならもっと早くしてもらいたかったな。首がヒリヒリするんだけど」
「舐めときゃ治る」
袴姿の呟きを一蹴するリッディ。
何様だ?と袴姿はリッディの背中を睨む。
袴姿は後ろに軽く跳ね上がると、リッディの背後に立ち、ゆっくりとした口調で話し始めた。
「自己紹介がまだだったね、私の名はロイ・フォーハルス、え〜好きな食べ物は─」
「分かった、分かったから手伝え!!」
「本当ですか?すごいですねぇあなたもしかして……、エスパーですか?」
「……………」
リッディは一人でアグニとバドラの激しい攻撃に耐えていた。そんな中、敵の一瞬の隙をついてリッディは後ろを振り返った。ロイは爽やかに笑っていた。
「エスパーだと…、んな訳…、ねえだろ!!」

プチッ

リッディの中で何かが弾けた。あるいはキレた。
それにリンクしてリッディの胸のライオンハートが、強烈な光を放つ。眩い光でアグニとバドラは完全に視覚を失った。

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