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武竜戦記
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武竜戦記 10

「我が力を糧に真の力を示せ!光の剣!!うおおおおお!!!」
ジンの竜剣が眩い光を放つと、それはタイラントオーガの頭上めがけて勢いよく振り下ろされた。一刀両断…、のはずだったが竜剣はタイラントオーガの腕によって見事に防がれていた。タイラントオーガは怪しい笑みを浮かべると、左の拳でジンに強烈な打撃を繰り出す。
それと同時にジンは竜剣を盾代わりにしてダメージを少なく抑えるが、その代償としてジンの腕は痺れて動かなくなってしまった。

「動け動け動け…、動けよ!!」
無防備な状態がジンの気持ちを焦らせる。
タイラントオーガはニタニタしながら少しずつジンに近づいてくる。次の攻撃目標に変えたためか十六夜は解放され、地面の上で気絶しているようだ。

「くっ、まだ動かない…。とにかく今は間合を─」
「ジン、伏せて!!」
急に背中から聞こえるミティカの声。ジンはそれに素早く反応し剣を掲げて屈み込む。すると世界は青色に包まれた。吐く息は白くなり、地面も霜で白くなった。
「!!」
何かに違和感をもったジンは空を見上げる。そこにはとてつもなく大きな氷の塊が存在した。宙に浮かぶ氷の塊はキラキラと輝きを見せながら、不気味な影を作り出す。
「氷岩!!」
ミティカがそう叫ぶのと同時にそれは落ちていった。タイラントオーガは直撃寸前に上を見上げるが、それに対応する暇もなく氷と共に地面に埋もれていった。

「凄い…」
「ジン、逃げるわよ!!」
地面に突き刺さる氷岩を目の前にし、それに見とれるジン。呆然としているジンにミティカは催促する。

「タイラントオーガはまだ生きてるわ、今のうちに逃げるわよ!!」
その言葉を聞きジンは急いで十六夜を探すが、既に彼は竜鳳に抱えられミティカと共にいた。ジンはそれを確認するとミティカのもとへ走り出す。

「逃げるのか?」
ジンが走っているとすれ違いざまに竜将がそういった。ボソッと呟くような口調だったが、ジンにはハッキリとそれが聞こえた。ジンはその場で立ち止まる。

「貴様の力は見させてもらった…、もう二度と私を呼ばぬ事だな」
それを聞くとジンは下唇を噛み、握る拳に力を入れた。

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